駒澤大4年の荒木駿太は今季、J1で躍進を続けるサガン鳥栖への加入が内定した。長崎総合科学大附高時代に全国高校選手権で活躍したアタッカーは見違えるほど逞しくなっている。駒澤大の秋田浩一監督も評価する、荒木の武器について綴る。

上写真=来季、サガン鳥栖の加入が内定している駒澤大の荒木駿太(写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

荒木がやらないとダメだと言われています

 二度追い、三度追いは当たり前。前線から足を止めることなく、最後まで全速力でボールを持つ相手DFにプレスをかける。2シャドーの一角としてプレーする荒木は、守備の仕事をさぼらない。スタミナは無尽蔵に思えるほどだ。

「めちゃくちゃきついですよ。でも、秋田浩一監督からは『荒木がやらないとダメだ』と言われています。他の選手たちに背中で見せないといけないので」

 チームをけん引するエースとしての自覚だろう。ハードワークする日本代表FWとして鳴らした巻誠一郎らを育てた駒大の秋田監督は舌を巻く。

「素晴らしい走力を持っている。彼の大きな武器です」

 福岡県育ちの荒木は、幼い頃から体力に自信があったわけではない。むしろ、中学生までは走ることを得意としていなかったが、長崎総合科学大附高の小嶺忠敏監督のもとで3年間みっちり鍛えられて変貌したのだ。

「『10km、行ってこい』みたいな感じで、日頃から普通に走らされていました。6kmくらいは楽に感じるようになりました」

 大学に入学してからも、秋田監督の妥協なきトレーニングで走力に磨きをかけた。昔から駒澤大の厳しい練習は、つとに有名。スタミナ自慢の荒木は苦笑する。

「毎週、かなり走ります。今年の2月は一カ月走りっぱなしでしたから。おかげでまた体力がつきました。本当に感謝しています」

 名物メニューの12分間走では3650mまで走れるようになった。陸上競技部の練習と比べても、遜色ないほどのペースである。やみくもに走っているだけではない。19年4月から駒澤大のOBで鹿島アントラーズなどで活躍した深井正樹コーチが就任した影響は大きい。走力の生かし方をより考えるようになった。

「いままではとりあえず裏に抜けておけばいい、という感じでしたが、狙いどころなどを考えるようになりました。『自分に矢印を出せ、落ちても受けろ』と言われています。プレーの幅が広がったと思います。プロになっても忘れずにやっていきたいです」

 サイドのスペースに走り、チャンスをつくったかと思えば、中央に鋭く切り込んでゴールも奪う。得点の意識は高い。攻撃時も豊富な活動量を生かし、好機に何度でも絡んでいく。攻守両面で足を止めずに走り続けている。今季はリーグ戦で3得点、3アシスト(10試合終了時点)。

「自分のプレースタイルは、鳥栖に合っていると思います。それに九州出身ですし、両親も近い(福岡)ので、直接見に来ることができます。親への恩返しにもなります」

 5月23日に内定が発表されても、荒木が変わることはない。きょうもチームのために走り続けている。

「残りの大学生活、駒大のために戦っていきます」

 関東大学1部リーグ戦前半の順位は3位(6月26日時点)。2005年以来、16年ぶりの優勝を視野に入れて、突き進む。

取材◎杉園昌之 写真◎◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子


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