FC東京の中盤のトライアングルが安定してきた。下がり目の場所で青木拓矢がバランスを取り、高い位置では高萩洋次郎が攻撃のタクトを振るう。そのベテランに挟まれるように走り回るのが安部柊斗だ。3月に謹慎処分を受けた反省もあって、勝利への貢献をさらに誓うプロ2年目の初夏。

上写真=安部柊斗は謹慎処分を受けた反省を胸に、ピッチで戦う。ゴールやアシストで恩返しするつもりだ(写真提供◎FC東京)

「迷惑をかけてしまって、申し訳なく思っています」

 安部柊斗が波多野豪とともに謹慎処分を受けたのは3月のこと。新型コロナウイルス感染防止対策に取り組むクラブの規則を破って、18日夜に会食に出かけていたことがわかったためだ。21日のJ1第6節ベガルタ仙台戦、28日のルヴァンカップ第2節のヴィッセル神戸戦を欠場している。

「チームやFC東京に関わるすべての皆さんに迷惑をかけてしまって、申し訳なく思っています。そこからずっと下に落ちていく一方では、自分の弱さが出てしまうだけなので、盛り返すというか、さらに上を目指していかないといけないと思っています」

 反省の証の一つにしたいのが、やはり結果。ゴールとアシストだ。

「まだ結果として得点やアシストが出ていないんですけど、徐々に近づいてきている感覚はあります。早く結果を出して勝利に貢献したいですし、上の順位に行きたいです」

 J1では15試合に出場してノーゴール、アシストもない。ただ、青木拓矢と組んで中盤の底に入るようになってからは、柏レイソルに4-0、ガンバ大阪に1-0と安定感をもたらした。そこから途中出場だった清水エスパルスに0-3で敗れ、先発復帰のサンフレッチェ広島に0-0で引き分けて、という流れだが、チーム全体の調子の波を抑える役割にも期待が集まる。

「青木選手がバランスを取ってくれるので、逆に自分は前に飛び出したり縦横無尽に走れていい関係ができていると思います。守備でも中を締めることが2人ともできています」

 手応えは上々だ。加えて、トップ下には高萩洋次郎が入る。

「高萩選手はトップ下にいてくれるので、声掛けをしてくれますし、アイディアを持った選手なので高萩選手に預けるのも一つのパターンです。3人のトライアングルでやろうと練習でも話しているので、もっとコンビネーションを増やせれば得点につながると思います」

「自分がもっとボールを引き出して前進させていければ」

 後ろに青木、前に高萩。前後を経験豊かなベテランに守られて、若い安部は彼らを信頼して気持ちよさそうに走り回る。攻撃では前線へ飛び出し、守備では最終ラインの前を固める、いわば「2.5列目」の役割はプレーの特徴にマッチしている。

「青木選手がバランスを取って自分が前に出て、その前に高萩選手がいるという関係ができています。だから、自分がもっとボールを引き出して前進させていければと思っています」

 高萩が入ることで時間を作ってくれる。走れば最高のタイミングでボールを出してくれる。長い距離を走りきれる体力自慢の安部にとっては、ベストパサーではないだろうか。

「高萩選手しかできないプレーをしてくれるので、自分がほしいところにくれたり、声掛けをすごくしてくれて助かっているんです。高萩選手もボランチをやることがあるので、守備のことでもっと前に出ていいとかカバーしろとか、具体的に言ってくれて、なるほどなというのがあるので、自分のためになっています」

 反省のために。勝利のために。中盤のトライアングルを基盤にして、安部が生き生きと飛び出してゴールを奪う日をサポーターは心待ちにしている。


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