5月19日に行われるJリーグYBCルヴァンカップのグループステージ最終節で、連覇を狙うFC東京は大分トリニータをホームに迎える。すでにBグループ1位突破を確定させているが、この試合の意味合いは非常に大きいと長谷川健太監督は見据えている。リーグ戦の連敗を5で止めた柏レイソル戦で手にした自信を本物にする一戦になる。

上写真=長谷川健太監督は大分戦で若手起用の可能性も示唆して、重要なゲームに臨む意欲を語った(写真提供◎FC東京)

上もうっすら見えてくる

「明日の試合は、リーグ戦の結果を受けて大事な試合になってきます」

 5月18日にオンライン会見に出席したFC東京の長谷川健太監督は、19日のルヴァンカップBグループ第6節大分トリニータ戦の位置づけを端的に説明した。大分の方は勝てば2位に滑り込む可能性があるが、FC東京はすでに1位突破を決めている。この大会のことだけを考えれば、何かが結果に左右されるわけではない。

 しかし、シーズンの大きな分岐点になる可能性がある、と長谷川監督はシビアに考えている。

 リーグ戦では屈辱の5連敗を喫したあと、5月15日のJ1第14節で柏レイソルに4-0で大勝して、ようやくトンネルを抜け出した。しかし、ここからさらに上に進めるかどうかは、この1勝だけでは図れない。ルヴァンカップの大分戦、そしてJ1第15節のガンバ大阪戦の連戦でともに勝利を収めることができれば、「上もうっすら見えてくる順位になると思う」と長谷川監督はにらんでいるのだ。

「うまく中盤のバランスを取ってくれました」

 柏戦でビッグスコアをもたらしたのは縦に速い攻撃で、それこそまさにFC東京の真骨頂。ディエゴ・オリヴェイラの先制ゴールにアダイウトンの2ゴール、そして最後に仕留めた三田啓貴の4点目によって「忘れた歌」を思い出したことが、勝利に直結した。

 そのきっかけの一つは、髙萩洋次郎の存在だった。今季初スタメンでフル出場。長谷川監督はそのサッカーセンスを「チームに還元してもらいたいと話していて、攻守のつなぎ役という部分で期待して使いました」と狙いを明かす。それに応えて2アシストと結果を残した。

 その高萩を生かしたのも、ボランチの青木拓矢と安部柊斗が後ろに控えていたことが大きかっただろう。どちらも守備力が高く、FWに極めて近い場所でプレーした高萩の背後をしっかりとケアした。

「最近ダブルボランチでやっていなかったのと、特に青木は今季から入ってきて、柊斗とのコンビが確立できていない中での起用で、柊斗も1年目からこのポジションをやっていたわけではありません。ですから、薄ら覚えというか、あまりダブルボランチとしての約束事がすんなりといかない場面はありましたが、うまく高萩と話し合いながら中盤のバランスを取ってくれました。映像を見返すとまだまだではありますが、クオリティーを上げていきたいと思います」

 ケガ人が続く中、試行錯誤しながらたどり着いた一つの形である。長谷川監督が「もがき続けた」と表現した5連敗。その苦しみが産み落とした「青木&安部+高萩」のミッドフィールドだ。

「持っている力を出してくれればいい」

 さらなる収穫が、ディフェンスだった。3点のビハインドを負った柏は後半から2人を代え、システムも変えて猛然と向かってきた。それに耐えきれたことが自信になった。

「ああいう時間帯は耐えなければいけないわけですが、危ない場面になってもしっかりキーパーを含めて対応できたので、クリーンシートで終わった結果につながりました。もがいた時間で守備の約束事を確認できたので、その意味ではきっちり最後のところでコースを限定しながらキーパーの波多野が防いだり、最後にスライディングしたり、プレッシャーをかけたりして相手のミスを誘うことができました。いままであっさり失点していたことからすれば、粘り強く戦えたのではないかと思います」

 この勢いを本物にするというミッションがかかるルヴァンカップの大分戦。長谷川監督は若手の起用の可能性にも触れていて、期待感を隠さない。

「それぞれが持っている力を出してくれればいいと思っています。ホームですから勝つに越したことはありませんし、いい内容であるに越したことはありませんが、持っている力を思う存分に出してくれるような試合展開になればなと思っています。うまくいかない点もあると思いますが、アグレッシブにサッカーをすることが大事なので、明日のゲームに出る選手がしっかりと体現してくれるかどうかが大事かなと思っています」

 だから明日は、ただの90分ではない。ピッチに立つチャンスを得た選手の、そしてこのチームの命運を分ける一戦と言っても過言ではない。


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