上写真=J1初ゴールを記録した鹿島の松村優太(写真◎J.LEAGUE)
■2021年5月9日 J1リーグ第13節(@カシマ/観衆7,346人)
鹿島 3-0 FC東京
得点:(鹿)町田浩樹、松村優太、上田綺世
「点を決めたこと以外は満足できていません」
鹿島が1点をリードして迎えた前半終了間際の45分、左サイドで白崎凌兵と土居聖真が巧みにパスをつなぎ、永戸勝也に預ける。やや内側でボールを受けた永戸は、右にポジションを取っていた松村優太に丁寧なパスを送った。
「永戸選手と目が合って、いいところにボールが来ました。(相馬直樹)監督からも(シュートを)打てるときはどんどん打っていこう、という話があったので、一つ打ってみようと。結果的にうまくコースを狙えたと思います」(松村)
松村が右足を振り抜くとゴールネットが揺れ、次の瞬間、深紅の27番はバックスタンドに向かって一目散に走り出した。「あ! 入った! って思って、いつの間にかテンパって走っていました。なんか、点を決めて焦ったというか、わけも分からないところに走っていて、三竿(健斗)選手に“自陣に入るから止まれ!”って言われて…(笑)」と、記念すべきJ1初ゴールを決めた韋駄天はその瞬間を振り返る。喜びのあまり、我を忘れて疾走したようだ。
「ルヴァンカップでも点を取っていたけれど、初ゴールはヘディング、2点目は(敵陣でボールを)追いかけて左足でチョンって触っただけなので、やっとしっかりシュートを打って入ったなという感じです」
リーグ戦では今季2度目の先発出場で結果を出した。「今日はスタートから出場するチャンスが来たので、必ず点を取ってやろうと思っていた」というように、その気迫がゴールに結びついた。それでも、得点以外のプレーについては手放しでは喜べない。「点を決めたこと以外は自分の中で全然満足できていません。まだまだ試合経験も少ないので、試合出場を重ねて改善していければ」と課題も残った。
松村は自身のパフォーマンスをさらに向上させ、中2日で迎える次節の名古屋戦でもどん欲に結果を求める。「名古屋は上位にいるチームだし、以前(J1第6節)に僕がスタートから出て負けた相手でもあるし、デビュー戦(昨季のルヴァンカップ第1節)のこともあります。僕にとって名古屋は因縁深い相手だと個人的に思っています」と話すように、松村にとってはより気合いの入る一戦となるはずだ。
「今日、結果を出したことは自信になります。チームとしても、個人としても、これをしっかり続けていければいいです」
ついにJ1初ゴールを手にした鹿島のスピードスターは、ここからさらにギアを上げていく。
取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE