上写真=いきなりの衝撃的なゴールで、決めた旗手怜央がこの大喜び。3分の先制ゴールで川崎Fが優位に進めた(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月29日 明治安田生命J1リーグ第22節(@豊田ス/観衆9,693人)
名古屋 0-4 川崎F
得点:(川)旗手怜央、レアンドロ・ダミアン2、遠野大弥
「ホッとしたというか、気持ちに余裕が出て」
川崎フロンターレにはパワーを、名古屋グランパスには大打撃を。旗手怜央が開始からわずか3分で決めた一撃が、頂上決戦の行方に大きな大きな影響を与えた。
首位の川崎Fと2位の名古屋が戦う異例の2連戦で、大きな注目の集まったその初戦。敵地に乗り込んだ川崎Fのスタートリストには旗手怜央の名前が書き込まれていた。4月3日の第7節大分トリニータ戦で痛めた右足太もものケアに当てて4試合に欠場していたが、この大一番で鬼木達監督が起用を決断した。その期待に、一発回答だ。
左から中央へ三笘薫がドリブルで入ってくる。少し中央に持ち出して角度を変えたことで、寄せてきたボランチ2人の間を狙い、稲垣祥の股下を抜いて中央のレアンドロ・ダミアンへ。ワンタッチで落としたボールは少し跳ねたが、逆にこれが良かったかもしれない。旗手はジャストタイミングでショートバウンドのボールを右足でたたき、きっりちとゴールに突き刺した。堅守名古屋をあっけなく破る先制ゴール。
「早く点が取れるとは思っていなくて、みんながどう思っていたかはわからないけれど、ホッとしたというか、気持ちに余裕が出て、それがいい方向に出てくれてよかったです」
復帰戦で実は緊張もあったというが、これで特大のインパクトを与えた。アウェーでの早々の先制点で、相手は早めに取り返そうと出てくるし、そうすれば使えるスペースが空いてくる。
「もしあれが名古屋のゴールだったら、守備を固められて自分たちが取りに行くのは難しい展開になっていたと思います。自分たちが取れたことによって、相手がゴールを取りに出なければいけないシチュエーションになってスペースが空いてきますし、それを考えると先制点はどちらにも重要でした」
実際に名古屋の米本拓司は「1点取られても下を向かずに前半0-1で終わればいいぐらいの気持ちでやれればよかった」と、先制点による衝撃を語っていた。そして、レアンドロ・ダミアンが2ゴールを重ねて23分で3点をリードした。
「結果にこだわらないといけないポジションでした」
「状況によって局面は変わっていくので、すぐに考えて動くことは意識していたし、それがあの1点目につながったと思います」
堅守を破るのはスピードやパワーや技術も必要だが、旗手にとって重要だったのは「頭」だったというわけだ。
「明確な狙いがあったわけではないけれど、僕の場合、意識していたのはゴールの近くで足を振ることを大事にしていました。それがゴールにつながったし、相手の状況を見てプレーするのは名古屋が相手というだけではなくて常に言われているので、それが形になったと思います」
その後も自由にポジションを変えて相手を翻弄、多くのチャンスにも絡み、77分には遠野大弥に後を譲った。その遠野が4点目を決めた。
「僕自身、復帰戦だったし、インサイドハーフということで(今季担当した左サイドバックとは)違うポジションだったので、結果にこだわらないといけないポジションでした。ゴールやアシストを残したい思いでやっていて、それが早い段階でできたのは良かったです。でも、もっと取れたシーンがあったので、そこに関しては突き詰めていきたい」
「前回の大分戦に比べればゴールに行く回数は多かったし、ペナルティーエリアの近くでプレーする回数は多かったけれど、もっと決めるためにはもっともっとペナルティーエリアの中で顔を出さないと。もっとたくさんボールに触っていかないといけないですし、前回よりはゴールへの意識は高まりましたけど、もっともっとやれると思います」
復帰戦のゴールと強力なライバルからの圧勝。最高の1日になったが、「もっともっと」の意欲が旗手を突き動かす。