上写真=1得点1アシストで勝利に貢献した樋口雄太(写真◎J.LEAGUE)
■2021年4月24日 明治安田生命J1リーグ第11節(@味の素/観衆4,914人)
FC東京 1-2 鳥栖
得点:(F)森重真人
(鳥)酒井宣福、樋口雄太
ミスが多くてまだまだなところがある
瞬時にスペースを見いだし、ボールを受ける樋口のプレーが冴えわたっていた。右サイドに留まらず、内に入っては相手のアンカー、森重真人の脇のスペースに顔を出し、パスを受け攻撃を加速させていく。18分には相手DFの間に割って入るように走り出した酒井宣福の頭めがけて正確なクロスを送り、先制点を導いた。そのプレーも見事だったが、相手が寄せに来れない場所にしっかり立っていたことも見逃せない。
先制アシストだけではない。先制点と同様に敵陣でのボール奪取から複数人が絡んだ末に自ら決めた34分のゴールもまた、見事だった。林大地がプレスバックして森重からボールを奪うと、こぼれ球を仙頭啓矢が拾い、松岡大起を経由して樋口に渡った。樋口は眼前のスペースを持ち上がって、相手が寄せてくる前に右足を一閃。ボックス外から放たれたボールは勢いよくゴール左隅に突き刺さった。
このゴールの直前の33分にも森重の脇のスペースで仙頭からのボールを受けてボックス内に走り込む酒井にスルーパスを通し、ゴールに迫っている。樋口のスペースを見つけて活用するプレーがFC東京に対して効いていた。いわゆるアンカー脇のスペース利用は鳥栖の狙いでもあっただろう。そもそも相手を見てプレーエリアを変えられるのが、チームの強み。ただ、樋口も活用術がとくに前半は際立っていた。
1ゴール1アシストと結果を出し、勝利に大きく貢献した樋口はしかし、試合後は冷静だった。「結果を出せたことは評価できますけど、それ以外のプレーだったり、ちょっとミスも多くてまだまだなところがある。もっと修正してレベルアップできるようにまたやっていきたいと思います」。自らが求めるところは、もっと高みにある。
チームとしても、それは同じ。現在3位につけるが、「結果だけ見れば上出来だと思います。ただこれから自分たちが強いサガン鳥栖を作って行くために勝つことが当たり前になっていくことが一番だと思う。勝ち癖というのをもっとつけていけたらと思います」と樋口は言った。
勝つことが当たり前のチームに。アシストすることが、そしてゴールを決めることが当然の選手に。それが鳥栖のナンバー10の偽らざる気持ちなのだろう。この日のゴールとアシストで今季の通算では2得点2アシストになった。むろん、その数字は、すぐに更新されるに違いないーー。