上写真=福岡戦では谷口彰悟とのCBコンビでプレーした車屋紳太郎(写真◎J.LEAGUE)
自分をどれだけアピールできるか
「来年はCBで勝負したい」。昨シーズン、優勝を決めたガンバ大阪戦のあと、鬼木達監督と話す機会があり、車屋は自身の思いを伝えたという。筑波大時代にCBとしてプレーして評価を高め、プロの扉に開いたという思いもある。プロの世界に入り、チーム事情もあって、サイドバックに転向したが、胸の奥にはCBでプレーしたいという思いがあった。そこで指揮官に率直に思いを話すに至ったと本人は言う。
もちろん、チームには強力なライバルがいるのは承知の上だ。
「ジェジエウだったり、(谷口)彰悟さんだったり、去年ベストイレブンを取ったようなすごい選手がいますけど、そういう選手に負けないように。今年に関して言えば、どんどん過密日程に入ってきて、自分にもチャンスが回ってくると思う。そこでどれだけ自分をアピールできるかが大事だと思います」
カバーリングの意識やプレーには車屋自身も自信を持つ。自身も2017年と18年にベストイレブンに選ばれており、しかも18年は奈良竜樹の負傷もあってCBでプレーする機会が多かった。気後れするところがないのは当然だろう。今季はCBの定位置争いに積極的に挑んでいる。その一方で、求められれば、サイドバックとして全力でプレーすることを心掛けている。
「サイドバックで出たときには、自分のユーティリティー性を発揮していきたいと思う。試合に絡めるように、アピールしていきたい」
実際、先日の多摩川クラシコ(FC東京戦)では、今季初めて左サイドバックとして先発した。チームファーストの姿勢はこれまでと何ら変わらないが、これまで以上にCBとして自身の持ち味を発揮したいということだ。
「今年に関して言えば、CBがメインになると思うですけど、前回の多摩川クラシコでも、こうやって連戦が続く中、ノボリくん(登里享平)の疲労もあるし、(旗手)怜央のコンディション不良とかもあったので。サイドバックでも準備はしていますし、どんな状況でも必要とされたときには自分の力を発揮できていると思います」
FC東京戦に左サイドバックで出場した次の試合、福岡戦では谷口とのコンビでCBを務めた。ポジションを変えながら今季初めて2試合連続でプレーし、チームの勝利に貢献。車屋の存在がチームを支えているのは間違いない。
次戦は広島戦。3戦連続で先発を飾るかどうかは分からないものの、車屋はどのポジションであっても準備を怠ることはない。
「前線に一人で突破できてしまう選手が前にいるので、そこは気をつけなければいけないと思います。サイドバックで出るとしたら浅野(雄也)選手と対峙しますが、去年、ホームでミドルシュートを決められて悔しい思いもしているので、去年やられたことはやらせないように、個のところでしっかり勝つということを意識していきたい」
広島戦も勝利のために全力を注ぐ。車屋は今、その万能性でチームを支え、そして守備陣の競争力を高めている。