上写真=4月14日の福岡戦でアディショナルタイムにゴールを決めた山根視未(写真◎J.LEAGUE)
自分がどうなるべきか明確になってきた
山根はチームで唯一、開幕から11試合連続フル出場を続けている。タイトなスケジュールの中、絶え間なく上下動を繰り返すプレースタイルを考えれば、その事実は驚くばかりだ。前節の福岡戦では90+5分にレアンドロ・ダミアンとのワンツーでゴール前に躍り出て、チームの3点目を記録した。右サイドバックとして最後まで走って、攻め抜いた末のゴールだった。
「ボールをもらったときに時間もなかったので、最後は奥の方に行って時間を稼ごうかとも思ったんですけど、自分の前にスペースが空いていたし、CBと1対1でいけると思って勝負しに行った」と振り返る。勝負に行く自信と、チャンスをかぎ分けるきゅう覚を山根は持っていた。
「ダミアンの右足の方に出したら相手がそっちに寄って、スペースにできやすいかなと思いました。そこにしっかり(ボールを)出して、そうしたら素晴らしい落としをくれて、あとは体の向きをファー気味にして、足首をひねってニアに打ったという感じです」
福岡戦のゴールは偶然ではなく、必然だ。しかもタフなゲームを90分戦い抜き、足が止まってもおかしくないアディショナルタイムに決めた点に価値がある。ただ、本人は極めて冷静にゴールの場面を振り返った。当たり前のプレーであるかのように。それは目指す場所がもっと高みにあるからだろうか。
「代表から帰ってきて、自分がどうなっていかなければいけないのかが、けっこう明確になってきました。毎日の練習から、試合でもレベルアップできるようにやっています」
「全部できるようになりたい。一人で守れるようにもなりたいし、目指す選手は、なかなかいないんですけど、こういう相手だったらこういうプレーができる、こういうふうに攻められても守れる、こういうふうに攻めなければいけないときは攻められる、というように、相手を見ながらしっかりプレーを変えられて、その全部をハイクオリティーでできる選手になりたい」
その意識の高さと成長への意欲が、山根を突き動かし、ピッチにおける現在の存在感にもつながっているのだろう。試合を欠場することについては「ケガとかで空けてしまうのは自分の成長する場を失うというのもそうですけど、他の選手にチャンスを与えてしまうことにもなる。新しい選手が出てくるというのは、常にそういうときだと思う。そういう危機感は試合に始めてからずっと持ってやっています」。
常に今以上を求め、危機感も持つ。福岡戦のゴールと同様に、昨季から続く活躍もまた必然であるに違いない。高みに向かう山根視来の歩みは、まだまだ止まらないーー。