上写真=山根視来は「自分の中で変わったものはある」。それを川崎フロンターレで具現化する意欲を語った(写真◎スクリーンショット)
「満足しない精神を持って」
山根視来が日本代表の一員として活動した時間で感じて設定したセルフ・スタンダードは、言葉にできるものとできないものがあるだろうが、できるもので言えば、例えば「突出した存在になる」がある。
「代表活動は終わってしまったので、Jリーグで突出した存在になれるかは、今後、6月にも代表の活動があるので、そこに向けて大事だと思っています」
海外組との現時点での違い(あるいは「差」と言い換えられることが多いが)を肌で感じた。突出しなければという決意の源だ。
「いままでやって来た部分もそうですし、持って帰ってきたものも含めてどんどんどんどんレベルアップして、いままでより満足しない精神を持ってやっていかなければいけないと思います」
技術や戦術もそうだが,帰結するのはやはり心の部分だ。やるか、やらないか。それを再確認させてくれた一人が、守田英正である。1月まで川崎Fでともに戦い、いまはポルトガルのサンタ・クララでプレーして、早くも凄みを身につけた仲間だ。
「守田と話していても、海外のクラブに身を置いてもっと激しい練習を日頃からやっていると聞きました。自分はJリーグでプレーしているので、自分だけでも忘れないでやることが、代表基準で活躍、成長する上で大事なポイントだと思っています」
幸いなことに、川崎Fはすべての選手が高い意識と基準を持つことにかけては国内でトップだ。今回の代表ウィークでも山根のほかに脇坂泰斗も選ばれて代表デビュー、U-24日本代表でも田中碧、三笘薫、旗手怜央が勇躍した。谷口彰悟、車屋紳太郎、大島僚太、家長昭博、小林悠も代表経験があり、レアンドロ・ダミアンはブラジル代表で、チョン・ソンリョンは韓国代表でプレーした。山根が持ち帰った「代表基準」に限りなく近づくための素地はある。
「まずはそれを自分で見せることが大事だと思っています。奪われた瞬間の切り替えのスピードをもっと上げるとか、球際をもっと激しくいくとか、一人で守れるようにするとか、コミュニケーションを多く取るとか、自分が体現することが大事になります。そういうものを目指してやっている選手が多いので、みんなでそういう姿を見せて結果を出して、これをやらなければ川崎では試合に出られないというプレーを継続して見せていきます」
日韓戦の代表デビューで代表初ゴール、という偉業をあえて過去のものにするために。山根がまた新しいスタートを切った。