上写真=ドリブル突破を図る金子拓郎(写真◎Getty Images)
■2021年3月17日 明治安田生命J1リーグ第5節(@埼玉ス/観衆4,571人)
浦和 0-0 札幌
練習からこだわってやっていく
2シャドーの一角で浦和戦に先発した金子は前半、札幌の選手たちの中で最も印象的なプレーを披露した。まずは、9分。スライディングで小泉佳穂のボールをつつくと、福森晃斗につながり、自らはすぐさま体勢を立て直し、ゴールへ向かう。ボックス手前でパスを受けるや左足を振り抜く。シュートはわずかに枠の右へと外れたが、札幌が狙いとする敵陣でのボール奪取からゴールを目指す形を体現してみせた。
飲水タイム直後の27分。今度は深井一希が小泉からボールを奪うことに成功。中央よりやや右でボールを受けた金子がドリブルでボックス内に入るとすぐさま左足で強烈なシュートを放つ。惜しくもゴール左のポストをたたき、ネットを揺らすことはできなかった。
そして43分だ。福森が左サイド前方へダイレクトで縦パスを入れると、裏に抜け出した菅大輝がボックス横まで進入。グラウンダーのクロスを送ったところに走り込み、ワントラップして左足を一閃。だが、しっかりミートすることができず、ボールは無常にも枠の上へと飛んでいった。
前半45分は札幌が浦和を押し込み、何度も決定機をつかんだ。そして最もゴールに迫ったのが金子だった。動き出しのタイミングが良く、周囲とのコンビネーションもスムーズ。ただ、スコアを動かすことはできなかった。
「いつもどおりボールをしっかり保持しながら、札幌らしい攻撃を何本も出せましたけど、そこで決め切れないと今日のような結果になってしまう」
金子自身は自戒を込めて言った。つかんだ好機を生かせなければ、やはり勝利を手にすることはできない。
「自分のシュートもポストに当たりましたが、あそこで決めていれば複数得点も狙えたはず。自分がもっとさらにレベルが上の選手になるためには、ああいうシーンで決め切る選手にならないといけない。自分の将来も開けないかなと思います」
「今年は去年以上に結果にこだわってやっています。きょうみたいに決めきれないと代表にも絡めない。もっと質を上げていきたい」
ショートカウンターを実践しようが、シュートをポストに当てようが、ネットを揺らさなければ、無得点は無得点。自分に求められているものが何なのかを、金子自身も理解している。現在、チャナティップや小柏剛が負傷中で、今後もワイドではなく、金子がシャドーを務めるケースはあるだろう。チャンスメークとともに、期待されるのはゴールだ。
「精度を上げることは簡単ではないですが、シュート意識の部分はすごく上がってきています。最後のところは紙一重だと思いますが、練習から1本1本こだわってやっていくしかないと思っています」
課題は明確だ。
「中2日で連戦になりますが、神戸戦もしっかりと自分たちのサッカーをして、決定機をものにして勝ち切りたいと思います」
浦和戦の前半、最も躍動した赤黒のナンバー9は、「次こそは」と前を向いた。