2021年3月17日、明治安田生命J1リーグ第5節が開催された。埼玉スタジアムでは、浦和レッズと北海道コンサドーレ札幌が対戦。前半は札幌がペースを握り、終盤は浦和がチャンスをつかんだが、ともにゴールを奪えずスコアレスドローに終わった。

上写真=浦和の杉本健勇にスライディングを仕掛ける深井一希(写真◎J.LEAGUE)

■2021年3月17日 明治安田生命J1リーグ第5節(@埼玉ス/観衆4,571人)
浦和 0-0 札幌

・浦和メンバー:GK西川周作、DF阿部勇樹、岩波拓也、槙野智章、山中亮輔、MF関根貴大(53分:田中達也)、金子大毅、小泉佳穂(64分:伊藤敦樹)、汰木康也(64分:大久保智明)、明本考浩(89分:武藤雄樹)、FW杉本健勇

・札幌メンバー:GK中野小次郎、DF田中駿汰、キム・ミンテ、福森晃斗、MFルーカス・フェルナンデス(81分:青木亮太)、深井一希(87分:岡村大八)、宮澤裕樹、菅大輝、金子拓郎、駒井善成(77分:高嶺朋樹)、FWアンデルソン・ロペス

1週間ぶりの札幌、中2日の浦和

 前半、優勢だったのは札幌だ。浦和を押し込み、ゴールをうかがう。セカンドボールもことごとく回収して二次攻撃を展開。特に序盤はハーフコートマッチの様相さえ呈した。

 ただ、攻め込まれてはいても浦和に焦りはなかった。1週間ぶりの試合だった相手と異なり、中2日で臨んでいるため、コンディションの差があるのは当然だ。チームとして無理をせずにある程度『構える』ことを選択していた。幅を取って攻める札幌に対して、時には4バックにサイドハーフを加えた5バックで守る割り切りも見せた。

 0-0のまま迎えた後半も、開始からアグレッシブだったのは札幌の方だった。敵陣でボールを回収し、厚みのある攻撃を見せる。休養十分の札幌と連戦中の浦和とのインテンシティの差は歴然で、球際の争いではことごとく札幌が優位に立った。攻める札幌、耐える浦和の構図に変化が生じたのは、浦和が64分に2枚替えを行なってからのことだ。

 73分、左サイドの汰木に代わって入った大久保がカットインからボックスに迫り、ファウルで倒されてFKを得る。阿部が直接狙うもGK中野のセーブに遭って決まらなかった。78分には伊藤、明本とつないだボールを田中がシュート。これまたGKに止められたが、浦和は札幌優勢の流れをここで断ち切ることに成功した。

 そして80分過ぎからは互いに攻守を入れ替えながら攻め合う展開になっていく。札幌は86分に金子のクロスから深井がヘッド狙うが、相手GK西川の正面をつく。浦和はアディショナルタイムに大久保のパスを受けた山中が左サイド深くからクロスを送り、杉本がヘッドで狙ったが、わずかに枠を逸れた。

 結局ゲームはスコアレスドローで決着。攻めながら決めきれなかった札幌に対し、守りながら攻めに転じた浦和。90分の時間の使い方は異なるものの、最後は等しく勝ち点1を分け合うことになった。

「どんな状況でもアウェーゲームは簡単ではない。その中でわれわれは試合をコントロールしてチャンスをつくった。ただ、それを決めることができなかったという試合。ここ最近の試合と同様に、得点を決め切れなかった。良い点を見いだすなら、無失点に抑えたこと。相手は前節の試合のように後ろからつなぐことをせず、ロングボールを使う形で戦ってきたが、そういう相手にチャンスをつくらせなかった。ただ、われわれが勝利しなければいけない試合だった」

 札幌のペトロヴィッチ監督は、この一戦をこのように総括した。対する浦和のリカルド・ロドリゲス監督は、こう振り返っている。

「どちらが勝ってもおかしくない試合。札幌は前半、われわれのボールロストからポストに当てるシーンがあり、うちは杉本健勇のヘディングシュートというチャンスがあった。後半も同様に相手はボール奪取からチャンスを得て、われわれは杉本のヘディングシュートや田中達也のシュートが止められた。今回の試合ではわれわれは中2日で消耗している状態で、あれだけ強度の高いチームが1試合を飛ばして臨んでいたので、当然勝ちたかったが、状況を加味すると勝ち点1はポジティブにとらえられると思う」

 チャンスの数では札幌が上回った。しかし浦和も終盤には決定的な場面を迎えた。互いに好機があり、ピンチもあった試合。ドローは妥当な結果とも思えるが、この試合に臨むシチュエーションを踏まえれば、両指揮官の指摘通り、札幌には悔しい、浦和にはポジティブな勝ち点1になったと言える。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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