上写真=3月11日、鹿島アントラーズのトレーニングを行なう土居聖真(写真◎KASHIMA ANTLERS)
「みなさんの希望になれれば」
東日本大震災から、10年が経った。
「東北出身なので地元に帰ったりするたびに思い出します。10年前に東北人魂という活動で宮城と岩手に行ったときの被災地の建物や駅、海沿いを行ったときの言葉に表せないほどの悲惨な状況が、今でもすぐに頭の中に浮かんできます」
山形県出身の土居聖真は、当時の記憶をよみがえらせる。
「何年経っても、あの場所にいた人たちの心は癒やされないままだと思う。毎年言っていますけれど、僕個人はサッカー選手として、サッカーでしか勇気づけること、元気づけることはできない。一人でも多くの人に響くような、一つのプレー、一つの勝利を目指して頑張っていますので、みなさんにもそうやって“頑張ろう”って思ってもらえる希望になれればと考えています」
前日のJ1第3節湘南戦ではエヴェラウドと2トップを組み、最前線で果敢なプレーを見せた。前半3分にはドリブルでの仕掛けからゴール前にクロスを送り、荒木遼太郎の先制ゴールにつなげた。「内容も結果も伴った試合ができた」と、湘南戦から一夜明けて背番号8は手ごたえを口にした。
「ドリブルで仕掛けたり、前線でコンビネーションを絡めたり、昨日は2人ではなくて、3人、4人と絡むような攻撃もたくさんできました。その起点だったり、先頭に立つのは自分でなくてはいけないと思うので、その部分はたくさん出せたんじゃないかなと」
確かな収穫を得て、次は中2日で広島戦に臨む。
「非常に難しい(試合になる)と思います。しっかり準備するのはもちろんですけれど、1シーズンを通して11人、18人だけでは戦えない。(試合に)出ている選手、出ていない選手が全員、同じ気持ちで準備しないと、いざチャンスが回ってきたときにパフォーマンスを発揮できず、チームに貢献できないでしょう。優勝に近づくためには、チーム力が大事です」
シーズンはまだ始まったばかりだが、土居は今後の戦いへチーム力の重要性を強調する。震災の年にプロキャリアをスタートさせ、鹿島のトップチームで戦い続けて10年。さまざまな思いを胸に、優勝に向けてチームを牽引していく。