鹿島アントラーズの若き点取り屋が新しい背番号で新シーズンに挑む。憧れの父のナンバーを身に着けて、目標の優勝へと突き進む2021年。2月10日のヴァンフォーレ甲府との練習試合で得点を決めるなど、鋭い嗅覚に磨きがかかっている。

上写真=甲府との練習試合でゴールを挙げ、上田綺世は今季も貪欲に狙い続ける(写真◎KASHIMA ANTLERS)

「いまは自分に鞭を打って」

 上田綺世の背番号が36から18になった。ちょうど半分。「単純に僕が18番が好きだからです」と話したが、深い意味があった。

「僕がサッカーを始めたのは父の影響、というか、父に憧れて始めたんです。その父が趣味程度でやっていたサッカーですけど、18番をつけていて。その理由というのが西ドイツのクリンスマンが好きで、その番号をということで。僕がサッカーを始めたときから背番号もポジションもずっと父のマネをしていたので、それはプロに行っても変わらないんです」

 一昨年からクラブにはアピールしていたというから、満を持しての「18」だ。

 ユルゲン・クリンスマンは1990年のイタリア・ワールドカップで世界一に輝くなど、1980〜90年代に数々のゴールを生み続けた生粋のストライカー。上田にとって父を通して仰ぎ見てきたお手本だった、と決めつけるのは無理があるかもしれないが、ゴール前での冷静さや体の使い方、フィニッシュワークは、どこか通じるものがある。

 2月10日のヴァンフォーレ甲府との練習試合では、35分×4本マッチの4本目にゴール。ペナルティーエリア内に入り込んで、白崎凌兵からのパスを蹴り込んだ。

「高い位置で奪って、そのままっていう感じですかね。シラくんがボランチのパスをカットして、そのままDFと1対1になって、その横パスをもらって決めたっていう感じです」と解説したが、「まだ自分のコンディション的にもマックスではないですし、いまはそれでも自分に鞭を打ってやる時期だと思うので、自分なりに満足いかないですけど、でもいまはそれでいいと思っています」と焦りはない。

 体も一回り大きくなった印象だが、それも最近指摘されることが多いようだ。

「よく言われるんですけど、自分から大きくしにいったわけではないので、自然にナチュラルにそのプレーに合わせて体が大きくなってくれたっていう感じです」

 ナチュラルに大きくなったのならば、体のアクションに最適化された最良のサイズアップというわけだ。理想的な体作りに成功している。

 昨季は26試合で10ゴールと二桁に乗せた。今季の目標はシンプルに「優勝」とだけ言い切ったが、スタンドのため息を誘う惚れ惚れするような美しいゴールも、泥臭くても体で押し込むゴールも、どちらも決めきる天賦の才がある。

 そこに加わった、希望の背番号18。憧れの父を超えて、心身ともにさらに大きなストライカーになってみせる。

練習試合結果

鹿島アントラーズ 3-1 ヴァンフォーレ甲府

1本目 1-1 得点者=泉澤仁(18分/甲府)、永戸勝也(34分/鹿島)
2本目 0-0
3本目 0-0
4本目 2-0 得点者=荒木遼太郎(22分/鹿島)、上田綺世(30分/鹿島)
※35分×4本


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