FC東京で守護神の座を手に入れたのが、GK波多野豪。大きな声で最後尾から味方を鼓舞していく姿はファン・サポーターをも勇気づけるが、試合を経験したからこその反省も山ほどある。それを乗り越えて狙うのが、リーグV、MVP、日本代表だ。

上写真=沖縄キャンプで鍛錬の真っ最中。波多野豪が勝負の1年に挑む(写真◎FC東京)

「ペナルティーエリアの中は戦場だと改めて」

 きっと、どうしても伝えたかったのだろう。波多野豪はオンライン取材が終わり、席を立つ間際に一言、大きな声で付け加えてから去っていった。

「絶対にリーグタイトル取るので、見ていてください!」

「シン・ハタノ」の1年が始まった。威勢のいい言葉を次々に自分に投げかけるのは、波多野のいい癖だろう。

「MVPは取りたいですし、FC東京でタイトルを取れればA代表が見えてくると思うんです。そこを目指していきたいと思います」

 昨季はシーズン半ばから正GKとしてゴールに鍵をかけて、J1リーグはもちろん、AFCチャンピオンズリーグでアジアの強豪相手に戦って経験を積み、JリーグYBCルヴァンカップ決勝でもプレーして優勝を手にした。「守護神」として迎えた新しいシーズンも、相変わらずの明るいキャラクターでチームを盛り上げている。SNSでダンス動画を披露するなど、話題作りもお手のものだ。

 その一方で、言葉を発することで周囲を巻き込み、自分を追い込んでいる。ただ明るいだけではない。

「連戦が続いたので、まずはしっかり体を休めるということで、犬も飼っているので散歩したりゆっくりと過ごしていました」というのが短いオフの過ごし方。1月4日にルヴァンカップ決勝を戦い、チームの始動は1月25日だったから、わずか3週間の自由時間。いまは沖縄キャンプで鍛え抜いている。

「試合に向けてのコンディションを整えていくことが大切になっていくので、休みすぎずやっていきたいですね。いい準備を心がけていきたい」

 正GKを経験したあとでは、チーム全体に目を配ることも必要になってくる。新加入選手をチームになじませることも、タイトル獲得への重要な仕事だ。

「特に気を使っているわけではないですけど、コミュニケーションを取ることでタイトルにつなげていきたいですね。もっともっといい雰囲気にしていきたいです」

 GK陣のリーダーとしての振る舞いも期待されてくる。林彰洋がリハビリ中、阿部伸行が戻ってきて、児玉剛、野澤大志ブランドンと合わせて計5人体制だ。確約されたポジションはない。

「バチバチ感はもちろんですけど、いい雰囲気ではできているので、お互いに高め合って、吸収し合って、とても充実していると思います」

 ルヴァンカップ決勝では自らのミスが絡んで失点。「ペナルティーエリアの中は戦場だと改めて思い知らされた」と唇を噛む。反省点も山ほどある。経験が自覚を生んだ。

「去年は失点が多く出ちゃったのがデータとして残っています。失点を1点でも少なく抑える上でも、ボールを持ったときの速さで攻撃に参加するところはもっともっと高めていきたいと思います」

 守るなら、攻める。最後尾から見せるその心意気で、リーグV、MVP、日本代表を引き寄せてみせる。


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