上写真=26日から始まった沖縄キャンプ。岡崎慎はコンディションよく練習に励んでいる(写真提供◎FC東京)
この4年間はうまくいかないことが多かった
キャンプ地の沖縄でオンライン取材に応じた岡崎が発した言葉は、どれも『覚悟』を感じさせるものだった。口をついて出てくる単語のすべてに、強い思いがにじむ。
「プロになって今年で5年目になります。正直、この4年間はうまくいきそいうでいかないことが多かった。2年目も試合に出始めて、でも丹羽(大輝)さんが加入して機会を失って、3年目もいい感じかと思ったらケガをしたり。それこそ4年目は清水に移籍して、いいチャンスをもらいつつあったのに、またケガをしてしまったり。難しいシーズンが多かったので、正直、気持ちいい1年を過ごせたことがない」
早くから才能を嘱望されてきた。FC東京のアカデミー育ちでユース時代にはタイトル獲得にも貢献。2種登録となってU-23チームでJ3を戦い、その力を証明した。
だが、トップチーム昇格後は、ケガの影響もあり、コンスタントに力を発揮できないまま、月日は流れた。自分の変えるきっかけをつかむために、昨季は清水に期限付き移籍。『異文化』に触れたことで成長できたと振り返る。
「清水に移籍して、自分的にはだいぶ大人になれました。一回、親元はなれるといったら大袈裟ですけど。これだけ育ててもらったFC東京を離れて、選手もスタッフも知らないところに行って、本当に短い期間、10カ月くらいでしたけど、新しいサッカーに触れることができた。こんなになじめないと思っていたので、最後は清水から離れるのも寂しくなるくらい、すごいいい時間を過ごせました。これから本当にサッカーを続けていくうえで、人として少し成長させてもらえたと思っています」
右膝骨軟骨炎のために戦線離脱し、昨年10月にチームにFC東京に復帰することになった。しかし、ケガの影響もあって結局、そのまま出番なくシーズンを終える。だからこそ、強い思いをもって新シーズンのスタートを切った。フルシーズン働くことは、岡崎の中では大前提だろう。
「今年はアタマからキャンプに参加できて、FC東京というチームにまた戻ってきて活動できている。1年間を通していいシーズンだったと言えるようにしないといけないですし、自分の中の分岐点というか、ここで一発活躍できればまた、道はひらくと思う。逆にケガをしたりとか良くない方に行ってしまうと、自分の感覚だったり、メンタル的にも難しいと思う。だからキャンプからしっかりと向き合っていきたいと思います」
これまでとは、やはり覚悟が違う。昨年の今頃はAFCのU-23選手権に出場し、グループステージ敗退という屈辱を味わった。岡崎自身、「内容、負け方、結果も、日本代表として恥ずかしいという次元じゃなく、サッカー選手として、一つの試合として、すごい情けない試合をしたと自分の中では思っています」と話し、「取り返しのつかないことをした」という思いもあるという。あの敗戦を糧に、「今まで以上に準備だとか、練習試合一つにしてもそうですけど、自分の中ではちょっと変わったなと思います」と、前に進んできた。
「ケガ人が出たら、より多くのポジションができる方が需要があるというか、ボランチ、CB、サイドバックも全部そつなくこなすことがキャンプでできて、自分がそれを準備できれば、チームにプラスになる。去年、無理言ってエスパルスにに出ていったので、そういうことも踏まえて、今年は東京で恩返しできればと思います」
勝負の2021シーズン。岡崎慎は、すべてを懸けて臨んでいる。