FWの顔ぶれが大きく変わった2021年の横浜FC。経験豊富なメンバーが多く加わった中に飛び込むのが、ジャーメイン良だ。ベガルタ仙台から加入する初めての移籍で、どんなステップアップを見せてくれるのか。

上写真=ジャーメイン良は初めての移籍で横浜FCへ。地元の神奈川に戻り「家族も喜んでくれました」(写真提供◎YOKOHAMA FC)

「自分の良さを忘れてはいけない」

 うまい。

 2020年、ジャーメイン良はベガルタ仙台の一員として対戦してそう感じた横浜FCに、2021年、移籍してきた。

「横浜FCと対戦したのは再開して3試合目で、僕も出ていましたけど、前からプレスをかけにいくのをテーマでやっていて、でもはがすのがうまかったんです。そこからどんどん前進されてシュートまで持っていかれるシーンが多かったんですね。それまで対戦したことがなかったので、うまいな、という驚きがありました。2戦目はケガで僕は出られなくてスタンドから見ていて、結果は引き分けだったけれど、支配されて負け試合のようでした。うまいな、力のあるチームだな、と」

 そのときの印象が移籍の決め手の一つになった。

「一つは去年対戦した中でポジティブなイメージがあったことです。いいサッカーを、ビジョンのあるサッカーをしているのを感じ取った部分が一つです。あとはずっとアプローチしていてくれたということを聞いて、熱意を感じました」

 実際にそのうまいチームに入ってみて感じたのが、こだわりだった。

「パス一つ、トラップ一つに対するこだわりが、監督もそうですし、チーム内でも感じるので、僕も中でやって学んで意識的にやっている最中です。うまさを肌で感じています」

 スピードを武器に3年間、仙台でプレーしてきて、新しいエッセンスを加えてステップアップを図る移籍になった。下平隆宏監督が植えつけてきた、ボールとともにプレーするサッカーに、自らのスピードを加えていくイメージをどのように描いているのか。

「特徴であるスピードの部分はしっかり残しつつ、監督の技術や教え込まれている(戦術的な)精度の部分がプラスになっていくと思います。スピードにプラスして、その精度の部分は成長できると思います」

 初めての移籍で「まずは雰囲気や練習に慣れる段階です」と慎重だが、当面の目標は2つ。

「ケガをせずにフルシーズン、ピッチに立って30試合に出場すること、それからゴールとアシストで10点以上を掲げてやっています」

 2019年は左足首舟状骨を、20年は右足首舟状骨を骨折した。爆発的なスピードを武器にするだけに、足首に掛かる負担が大きくなるのも宿命なのか。ピッチに立ち続けることを第一の目標にするのも、うなずける。

 そのために「足首周りの骨のケガが多いので、インソールを新しく作ってもらっている最中です。あとはパーソナルなトレーニングで体の使い方を見直しました」とケアを怠らない。インソールは完成を待っているところで、「衝撃が足首にかかりすぎないようにするという作りになると思います」というから、まさにあのスピードを支える秘密兵器になりそうだ。

「フォワードには経験のある選手がたくさんいて、(伊藤)翔さん、(渡邉)千真さん、クレーベもいてもちろんカズさんもいます。その中で自分の良さを忘れてはいけないと思うので、明確にスピードという特徴があるのでそこを生かして、今年も連戦が多いので貢献していきたいです」

 横浜FCにとっても、ジャーメイン良のスピードが新しい秘密兵器になるだろう。


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