上写真=宮大樹は移籍してきたばかりで溶け込むのはこれから。「明るさを出して」(写真◎スクリーンショット)
小さな勝利を積み重ねることで
「チームとしての目標は10位ということですが、優勝を目指してやらないと意味がないですよね。個人的には全試合に出るという意気込みでやっていきたいと思います」
虚勢を張っているわけではない。サガン鳥栖からアビスパ福岡と「隣のクラブ」に移籍してきたDF宮大樹は、プロ選手として当然のこととして頂点を見据えて戦っていくのだ。
その鳥栖では昨季、ケガの影響もあって14試合の出場に留まった。でも、納得の時間だった。
「去年1年間、ケガもあったんですけど、出た試合にはほとんど負けていないですし、自分にとってはいい1年、成長して自信をつけた1年でした。今年はしっかりと試合に出て結果を出して、福岡にいい影響を与えていけたらと思っています」
鳥栖でのプレーをわずか1年で終えて福岡のオファーを受け入れたのは、長谷部茂利監督の存在も大きかったという。2019年途中に水戸ホーリーホックに加入して、長谷部監督とともに12試合、戦っている。
「すごく勝ちにフォーカスされたサッカーだと感じていて、守備の面からゴール前で体を張ることに賛辞を送ってくれますし、ゴール前のリスク管理はとても細かいと思います」
水戸で一緒だったのは半年ほどだが、得たものは大きいという実感があった。
「その守備に対する考え方ですね。ファーストプレッシャー、連動の部分、全員でボール奪う、ということを強調して言われるので、その意識が自分に根づいたと思っています」
こうして、長谷部流の「妥協を許さない守備」への意識が研ぎ澄まされていったのだ。もう一つ自信になるのが、その左足。
「左利きの大柄なセンターバックは、日本を探してもなかなかいないと思っています。まずいい守備をして、そこから攻撃の起点になるパスを出していければ、自ずとチームにプラスになる材料だと思います」
確かに左利きのセンターバックは日本サッカー界で望まれて久しく、そのスペシャリティーは間違いなく生きる。
「去年の福岡は左利きがあまりいなかったので、組み立ての部分で対角に蹴ったりするのは多くなかったかなと思います。だから自分が右ウイングに出したり、ボランチをパスしてフォワードに直接くさびのボールを入れたり、左利きの良さを出していければと思っています」
そんな特質を仲間に深く理解してもらいたい。「みんなまだおとなしいなと思っていて、でも僕も猫かぶってるんで、明るさを出して勢いを出していければと思っています」と少しでも早くチームに溶け込もうとしている。
「キャンプでは結果にこだわるという小さなテーマで臨みます。練習の紅白戦を含めて、内容が悪くても勝てばいいので、とにかく結果にこだわっていきたいと思います」
小さな小さな勝利の積み重ねが、J1の舞台で大きな歓喜につながっていく。