【大分】J1で3年目へ新戦力の誓い。長沢駿「このサッカーを僕もやりたいと思いました」

上写真＝片野坂知宏監督も「レベルが上った」と喜ぶ補強に成功。目標の一ケタ順位へ挑む（写真◎大分トリニータ）

「全体のレベルを上げることができた」

　勝ち点47で9位、43で11位。大分トリニータがJ1に帰ってきてからのこの2年は、どちらも中位だった。昨年は「勝ち点55、6位」を目標にしていたものの及ばなかったが、片野坂知宏監督は「悪い結果ではなかった」とネガティブにとらえてはいない。もちろん「足りないところ、精度を上げなければいけないところは修正していかなければ」としているが、今季は20チームで戦うことを考慮に入れて、目標を「一ケタ順位」に設定した。つまり、半分より上、である。

　鈴木義宜、岩田智輝と3バックのうち2人を欠き、片野坂サッカーの基盤を失った不安は大きい。しかし、西山哲平ゼネラルマネージャーは「総合力は昨年以上」と補強に胸を張る。片野坂監督も「リクエストした選手ほぼ取ってもらえて、あとは私がトレーニングの中から積み上げてトリニータのサッカーを浸透させ、さらにレベルアップさせることが大事になります。戦力的にも去年よりレベルが上がった補強をしてもらったので、全体のレベルを上げることができたのではないか」と期待を抱いている。

　そんな新加入選手は12人。それぞれが新チームでの活躍を誓った。主なコメントは次の通り。

20 FW 長沢　駿（←仙台）

「これまで対戦相手として戦って、大分のサッカーが魅力的でした。このサッカーを僕もやりたいと思いました。サイドから崩してクロスを上げてくれるので、自分の特徴が生きると思って決断しました」
「カタさん（片野坂監督）とはガンバにいたとき、試合に絡めないときに（当時コーチの片野坂監督と）一緒に練習してもらった記憶が強いですね。僕の性格を分かってくれてのオファーだと思っています。いままでやってきたことを見てもらっていて、理解してくれている監督なので信頼しています」

11 MF 下田北斗（←川崎F）

「大分のサッカーにフィットするんじゃないかと思って決断しました。しっかりボールを大事にするサッカーで、そこは僕も自分の特徴だと思っています。ロングボールを左右に振ったり攻撃的に前に出ていくところが合うと思います」
「フロンターレでは常に試合に出続けることができていたわけではないので、しっかり試合に出たい気持ちがありました。フロンターレでは学んだことが多いので、それを大分に還元して姿勢で見せたいと思っています」
「（背番号11は）攻撃的な選手のイメージがありますから、ボランチから攻撃していきたいですね。それを背負って責任感を持って戦いたいと着けさせてもらいました」

22 GK ポープ・ウィリアム（←川崎F）

「強くたくましく頼られるGKになりたいと思います」
「（昨季は岡山でフル出場して）成長できた部分は、試合と練習は別ものだったと分かったことです。試合の中でいかに自分の最大限を発揮できるか、その準備の部分で1年を通して成長できました」
「課題はシュートを止めるところ。勝敗を分けるシュートを止める部分は、もっと突き詰めないといけないと思います。ビルドアップも大事ですが、キーパーは守ってなんぼなので」

5 DF 福森健太（←北九州）

「J3からキャリアが始まって、上を見続けながらチャレンジし続けた結果、ここに来ることができました。でもまだ移籍してきただけで、ここで結果を残して勝利に貢献できるようにすることが次の課題になるので、達成できるように頑張っていきたい」
「力強さと推進力が強みで、それをベースにクロスや1対1の対応も前面に発揮して貢献したいです」
「ウイングバックでの出場が基本だと思っています。左右どちらでもできるので、任されたポジションで自分の強みを発揮すること意識しています」

3 DF 坂　圭祐（←湘南）

「（大分のイメージは）後ろからキーパーを交えてショートショートとつなぎながら、ロング一発といったように、長短のパスを絡めていく印象です。ロングフィードは武器なので、それを前面に出せたらと思います」
「（湘南時代は3バックの中央で）攻撃の部分ではロングフィードを出したり、ときどき駆け上がったりすることもありましたが、新しく見つける部分もあると思います。大分で新しいサッカー観に出会って新しい自分に出会いたいです」
「身長は大きくないですけど身体能力はある方だと思うので、そこを生かした守備と攻撃が特徴です。最終ラインでリーダーになることを求められてくると思っています」

16 FW 渡邉新太（←新潟）

「（移籍の理由は）まずはJ1というのが一番で、年齢的にも25歳なのでJ1に挑戦しなければいけないと思いました」
「大分のサッカーは面白いので、それも基準になりました。後ろからていねいに組み立ててボールを大事にして、攻守にハードワークして統一感あるのが魅力的ですね」
「（ポジションは）シャドーがたぶんメインになってくると思いますけど、相手の状況で1トップもやるシーンがあるかもしれません。与えられたポジションで最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするだけです」
「ゴールやアシストという目に見える結果を求めてやっていきたいです」

19 DF 上夷克典（←京都）

「（3バックの）右、左、真ん中のどこで使われるかはまだ分からないですけど、どこで出ようがすることは一緒です。持ち味の守備、カバーリング、ビルドアップを出していきたいと思います」
「大分は下からつなぐチームなので、ビルドアップに積極的に関わって前や後ろや横の選手とコミュニケーションを取って全員攻撃全員守備でいきたいと思います」
「攻撃は結構好きで、攻撃参加には積極的にかかっていきたいですね。プロになって得点がまだないので狙っていきながら、しっかり守っていければと思っています」

26 DF 黒﨑隼人（←栃木）

「サッカー選手として成長したい思いが強かったのが移籍の理由です。トリニータのサッカーは映像でも見て面白くて、まったく知らない戦術の部分もありますが、吸収してもっといい選手になれたらと思って移籍を決めました」
「前への推進力、それから出て戻るというところまでが自分の仕事だと思っています。プラスして最後の部分の質、クロスもゴールも狙っていけたらなと思っています」
「左からのクロスを逆サイドの自分がゴール前に入っていってシュートだったり、ミドルシュートもイメージしながらやっていければと思います」

17 MF 井上健太（←福岡大）

「改めて大分の一員になった自覚が強く出てきました。昨年は（特別指定選手として）6試合とカップ戦に出させてもらいましたが、自分の中で充実感を得られずに悔しい思いをしました。いまは楽しみな気持ちでいっぱいです」
「田中達也選手（→浦和）が勝利に貢献していたように、スピードを生かしてやっていたことを自分がそういうピースにならないといけないと思っています。もちろん、達也くんになるわけではないですが、同じようなピースだと思うので、自分の色を出しながらも型にはまりながらやっていきたい」

18 FW 藤本一輝（←鹿屋体大）

「去年は特別指定選手として帯同させていただいて（5試合出場）、今回、正式加入ということで一層気持ちが引き締まる思いです。特徴であるドリブルからのシュートで貢献して、二ケタ得点できるようにがんばります」
「去年、5試合に出させてもらって、自分が求めていたものがレベルの低いものだと感じたので、それを意識してそこからの半年を過ごしてきて、二ケタ得点の目標を立てました」
「（レベルが低いというのは）チャンスがあったのに決めきれない決定力の部分で、大学では全部自分でやろうとしていましたが、5試合に出てワンタッチゴールやコンビネーションで取るゴールも必要だと感じました」

24 GK 西川幸之介（←藤枝東高）

「幼い頃からの夢だったプロサッカー選手になることができてうれしいですし、特徴を生かせるチームに入れてよかったです。正確なキックによるビルドアップを特徴としていて、特に大分はキーパーからのビルドアップを戦術の中に取り入れていると思うので、生かせるのが大きいと思いました」
「ポジショニングについて意識していて、身長が低いこともあるんですけど、プレーエリアを広く保つのも上下のポジショニングが大事です。あとは相手との駆け引きで、あえて広い方に打たせるとか考えながらやっていて、プロでも通じる部分はあるかなと思っています」

43 MF 弓場将輝（←大分）

「アカデミーから23人目の昇格ということで、うれしかったです。でも、ここからが本当の戦いだと思うので、現状に満足せずに頑張っていきたい」
「ボランチから得点源になることを目指したいと思います。リーグ戦の半分、19試合以上出場して3ゴールしたいですね」
「いままでは（岩田）智輝くんがアカデミーの憧れでしたけど、その後を継げるように、憧れや手本になるような行動や言動をピッチ内外でしていきたいと思います。アカデミー出身として期待されていると思うんですけど、サポーターの皆さんに愛されるようにピッチの中でも外でも大分に貢献できるように頑張りたいです」

大分トリニータ2021選手リスト

※　☆＝完全移籍、△＝新加入
※　選手リストは2021年1月17日現在

Jクラブでも経験豊富なメンバーが揃った。写真は長沢駿、坂圭祐、渡邉新太（写真◎大分トリニータ）3