上写真=アダイウトン(右)がレアンドロと並んで最高の笑顔。電光石火の決勝ゴールだった(写真◎小山真司)
■2021年1月4日 JリーグYBCルヴァンカップ決勝(@国立競技場/観衆24,219人)
柏 1-2 FC東京
得点:(柏)瀬川祐輔
(F)レアンドロ、アダイウトン
「考える余裕はありませんでした」
頭で考えるよりも速く、体が動いた。
柏レイソルとのルヴァンカップ決勝で、16分にレアンドロが決めてFC東京が先制したものの、ミスも絡んで45分に1-1に追いつかれた。こうなれば、スーパーサブにしてスピードキングの出番である。
67分、アダイウトンが東慶悟に代わってピッチに飛び出していくと、74分にはもう結果を出した。ジョアン・オマリの縦パスを相手がクリアしたルーズボールに永井謙佑がいち早く反応、ヘッドでゴール前に押し出すと、背番号15が飛び出していって、右から寄せてきた古賀太陽に触られないように左足で先にボールをつついてゴールに送り込んだ。
「自分ではどういうシーンか覚えていなくて」
一瞬の出来事で体が先に反応したからだという。
「永井選手がヘッドで出してイーブンなボールになって、それをスピードを生かしてゴールを決めるというところで、どこに決めるか考える余裕はありませんでしたし、どういうゴールか覚えていないんです」
ほんの一瞬の電撃ゴール。当の本人も思考の回転が追いつかないほどのスピードは圧巻だった。
「自分のゴールで勝てて、タイトルが取れたということが一番です」
2020年シーズンにFC東京の一員となり、真面目で一生懸命なキャラクターですぐになじんだ。類まれなスピードを生かすために後半投入のジョーカーが主な役割となったが、その期待に応えて最高の切り札になった。
「ブラジル人選手がたくさんいますし、日本人選手も含めてみんなで力を合わせてタイトルを取ろうとやってきました。最後の最後でタイトルを取れたのはうれしく思います」
チーム一丸を強調するあたりは、生真面目なこの人らしい。
「いろいろな意味で大変なシーズンでしたので、頭と体を休めたいと思います」
自らのゴールでタイトルを獲得して、シーズンを終える。最高の結果でオフに入るから、心も体も十分に回復するに違いない。