上写真=決勝前日の会見で長谷川健太監督は強い決意を語った(写真◎J.LEAGUE)
ディエゴの不在は全員でカバー
前日練習に、ディエゴ・オリヴェイラ、高萩洋次郎、田川亨介の姿はなかった。長谷川監督によれば、「今日いないということは明日の試合は難しいということだと思ってください」。つまり、欠場する可能性が大きい。とりわけ得点源であるディエゴの不在は痛いが、それでも「全員が力を合わせて彼の穴を埋めていきたい」と指揮官は語った。
誰が出てもアグレッシブにボールを奪い、前に出ていくスタイルは変わらない。磨きに磨いた東京スタイルに、チームの誰もが自信を持つ。決戦への意気込みを問われると、「悔いのない東京らしいアグレッシブなサッカー、そういう試合展開になればなと思います」と語っている。つまりはやり方は変えない。変える必要がないということだろう。
そのうえで、指揮官は注意すべきポイントに触れた。それは、柏の前線のホットラインだ。
「柏は非常に分かりやすいというか、分かっていても止められないラインがある。そこを明日のゲームでもしっかり止められるかどうか。クリスティアーノとオルンガ、それに江坂(任)が絡んでくる前線のホットラインが柏にはある。非常に堅い守備から一発で状況を変えられるだけの個の力を持った選手たちを、90分間、あるいは笛が鳴るまで、いかに止められるか。(勝負のポイントは)そこだと思います」
ホットラインを断つために、重要なのは「失い方」だという。
「(気をつけるべきはボールの)失い方だと思います。中途半端な攻撃、前回の時も失い方が悪くて一発でも持っていかれましたし、攻めているときのリスク管理も含めて、しっかりとやるべきことをやれるかどうかにかかっている」
ホームで戦ったJ1第30節は1-3で敗れた(10月28日)。長谷川監督のいう通り、ミスがらみで相手にボールを易々と渡してしまい、失点を重ねた。同じ轍を踏むわけにはいかない。
「Jリーグが始まって、自分が清水のプレーヤーだったとき、一番初めに、そして現役時代に唯一ですが、獲ったタイトルが前身のナビスコカップでした。だからこのタイトルに対する思いというのは、ほかのタイトルとはまた違う特別なものがあります。ガンバ大阪の監督時代に三冠を取ったときも、ナビスコカップをまずとって、そのあとのタイトルにつながった。まずタイトルというものを取ることが、本当の意味で東京が常勝軍団になれるかどうかにかかってくる。だから大事なタイトルになる。これを取って、自信を持って2021年シーズンに臨む、そんなタイトルにしていきたいと思います」
ルヴァンカップ優勝をスタートに、常勝への道を進みたいと話した。自分たちがやっていること、進んでいる道を信じるために、つまりは自信をさらに深めるためにタイトルの獲得は非常に重要だ。そのことを、長谷川監督は身をもって体験してきた。だからこそ、優勝したいと意気込む。
「この時期、サッカーをやっているチームは現状、柏とウチしかない。そしてこうやってタイトルを争えるということに関して、喜びを感じ、感謝の念を持ちながら試合に臨もうという話を選手たちにもしています。選手は非常にいい準備ができている。明日は持てる力を十二分に出してくれると思っています」
舞台は整った。注目の一戦は明日4日、14時35分、国立競技場でキックオフされる。