センターバックのポジションで堅い守備を見せた木本恭生(写真◎J.LEAGUE)
■2020年12月19日 J1リーグ第34節(@カシマ:観衆11,251人)
鹿島 1-1 C大阪
得点:(鹿)エヴェラウド
(C)松田陸
ロティーナ監督に感謝。「2年間、すごく充実したシーズンでした」
1失点は喫したものの、C大阪が「守り抜いた」、と言うべき試合展開だっただろう。終盤の後半38分に松田陸が先制ゴールを奪うが、その後に同点とされ、後半アディショナルタイムには鹿島の怒とうの攻撃を受けた。「最後は引き分け狙いという形になってしまった」と、センターバックの木本恭生は振り返る。「とにかく、やられないように意識していました。(キム・)ジンヒョンさんがスーパーセーブで止めてくれた」。守備陣を中心に体を張って鹿島の攻撃をしのぎ切り、1-1の引き分けで最終節を終えた。
「伝統のある鹿島のスタジアムで、この勝ち点1はすごく貴重です。勝てれば良かったと思うけれど、結果的には勝ち点1に個人として満足しているし、チームとしても満足していると思います」
鹿島戦のタイムアップのホイッスルが鳴ると同時に、C大阪のロティーナ監督体制も終焉のときを迎えた。昨シーズンはリーグ最少失点を記録し、今季の失点数もリーグで3番目の少なさ。特に守備力の強いチームを作ることに定評のあるロティーナ監督の指導力が結果に表された。
「2年間、すごく充実したシーズンでした。チームとしても昨年は5位で、今年は4位。セレッソの歴史の中でも、すごく安定した戦いができていたシーズンだと思います。ロティーナ監督とイバンコーチが植えつけてくれた、ポジションを大事にして組織的に戦うことは、すごく学ぶものが多かったです。すごく感謝しています」
木本は自身とチームの成長を実感し、指揮官とコーチへの感謝の思いを言葉にする。タイトルには手が届かなかったものの、堅守をベースにしたロティーナ監督のチーム強化は、確かな成果も残した。4位でシーズンを終えたことで、天皇杯の結果次第で来シーズンのAFCチャンピオンズリーグ出場権を得る可能性もある。守って、守って、得た勝ち点1が、アジアのステージへの扉を開くことになるのかもしれない。
「来年はロティーナ監督ではないけれど、2年間やってきたものを今日表現できたと思います。2年間、すごく濃かった印象があります」
もしも後半アディショナルタイムの鹿島の猛攻の中で勝ち越し点を奪われ、敗れていれば4位と5位の順位が入れ替わっていた。そんな直接対決で最後に明暗を分けたのは、まぎれもなくスペイン人の知将がもたらした「堅守」だったはずだ。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE