上写真=J1デビューを飾り、ACLでプレーし、五輪代表候補合宿へ。波多野豪は今季、飛躍した一人だ(写真◎FC東京)
FC東京の歴代GKは素晴らしい選手ばかり
FC東京のU-18から昇格し、4年目のシーズン。2020年は波多野にとって、飛躍の1年になった。8月9日の第9節セレッソ大阪戦で無失点デビューを飾ると、3試合連続でスタメンを飾る。だが、その後はまたベンチを温めることになった。
当時の心境について、「3試合くらいで出場できなくなってしまって、その悔しさというものはとても強かった」と振り返る。その後、若手主体で臨んだ20節の湘南戦に出場し、30節の柏戦以降、先発の座をつかむ。
「『もう1回、絶対に試合に出てやる』と練習に挑んで、その結果、今、こうやって試合に出させてもらっている。継続して優れたパフォーマンスを続けていかないといけないと思いますし、もっともっとFC東京が高い順位にいられればよかったですけど、そこは僕の力が足りなかったと思います。来シーズンに向けてもいい準備をしたい」
今季リーグ戦では33節終了時点で9試合に出場。そして11月から12月にかけてカタールで集中開催したACLでは5戦すべてでゴールを守った。その成長が認められ、来週22日から始まる『U-23日本代表候補トレーニングキャンプ』にも招集されることになった。
「オリンピックに絶対に出ないといけないと思います。やっぱり東京開催ということで、僕も22年間、ずっと東京に住んでいますし、ここには仲間もたくさんいます。その人たちに見てもらいたいですし、大会を盛り上げたいと強く思っているので出たい。FC東京でゴールを守りながら、日本のゴールを守れたらいいなと強く思っています。東京オリンピックは絶対に出たい」
今季のJリーグは若いGKの台頭が目立つ。波多野のほかにも、鹿島の沖悠哉、湘南の谷晃生ら今季、出番を得て飛躍した選手は多い。五輪代表の常連である広島の大迫敬介らライバルはたくさんいるが、波多野は自信を持っている。
「僕も自信はありますし、負けていないと思っています。特長をバンバン出しながら、(合宿に招集されている)他の二人(大迫、沖)の選手を焦らせたいと思います」
明日のJ1最終節で好パフォーマンスを見せ、五輪代表候補の合宿でアピールし、そしてルヴァンカップ優勝に貢献する。FC東京のゴールマウスに立つ選手として、それらすべては果たすべき使命だと波多野を考えている。
「FC東京というビッグクラブで、正ゴールキーパーでピッチに立たせてもらっている限り、やっぱり変なプレーではできないと思います。だからと言ってカッコつけて『オレ、FC東京のキーパーだぜ』っていうプレーもダメ。自覚と責任感を持ってやりたい。歴代、FC東京のゴールを守ってきたのは素晴らしい選手ばかり。その人たち以上のパフォーマンスをしないといけないし、常に高いモチベーションだったり、高い意識で臨んでいきます」
キャリアで最も濃密だった2020年を、さらなる飛躍を遂げる2021年につなげるべく、まずは明日、J1最終節で無失点勝利を狙う。