上写真=同点となるFKの直前に、ドウグラスからアドバイスを受けたと古橋は明かした(写真◎Getty Images)
■2020年12月10日 ACL準々決勝
(リモートマッチ/@カタール・アルジャノブ スタジアム)
神戸 1-1(7PK6) 水原三星
得点:(神)古橋亨梧
(水)パク・サンヒョク
違った自分を見せられたのかな
水原三星との準々決勝は先行を許す苦しい展開になった。サイド攻撃を許して開始7分に失点してしまった。だが、神戸はそこでしっかり耐えた。高い集中力をで2点目を許さず、徐々に盛り返し、前半のうちに追いついてみせた。
西大伍が倒されていったんはPKを獲得したが、VARの結果、判定が変わり、ボックスすぐ外、左斜めからのFKになった。セットされたボールのそばに立ったのは、ドウグラスと山口蛍、そして古橋。位置的にはドウグラスの左足が優位に思えたが、蹴ったのは古橋だった。
ドウグラスがボールを蹴らずにスルーし、直後に古橋が右足を振り抜く。ボールは6枚の壁の下を越え、ジャンプした相手DFチャン・ホイクの下を通り抜けて、ゴールへと吸い込まれた。古橋がこの場面について明かす。
「最初は、ドウグラスが蹴るのかなと思っていて、蛍さんも近くにいました。そうしたらドウグラスが『下を狙えば入るよ』と言ってくれて、『まずは僕が走るから、次に下を狙って』と言って、僕が蹴ることになりました。蹴ったら、うまく入ってので良かったです」
起死回生のゴールには、仲間のアドバイスがあったのだ。ゴールの確率が一番高まるのは、どんなFKなのか。相手も当然、ドウグラスのキックを警戒していたと思われるが、そのことを逆手に取って、チームのことを考えた結果、一連のプレーが選択されていた。
PKが取り消されて変更されたFKで得点し、同点に追いついたことはチームにとって非常に大きかった。しかもそれは『チーム』の力で取った1点だったと言っていい。
古橋自身はプロになってからは初めて決めたFKで、「大学時代にたまたま入ったのはありましたが、今日のような大きな舞台で決めたのは初めて。違った自分を見せられたのかなと思います」と価値あるゴールを振り返った。
西を倒したDFキム・テファンは結局、退場となり、神戸はその後、一人多い状況で試合を進めることになった。しかしチャンスは作っても決めきれず、延長戦でも決着つかずにPK戦へと突入した。
「同点に追いつけてから、なかなか点を決めることはできませんでした。ただ、PKで勝つことができました。本当にチームが一つになって戦えているのが、いいことだと思います。このままの、いい雰囲気のまま一つになって、応援してくれるみなささんのためにも、日本の代表として胸を張って応援をしてもらえるように頑張ります」
古橋自身はPK戦で4人目のキッカーとして登場し、ゴール左上に決めた。PK戦は、神戸は全員が決めて7-6。死闘を制してネクストステージの扉を開けた。次は中2日(13日)で準決勝、蔚山現代との対戦になる。
「またすぐ試合があるので楽しみです。自分たちが出せる力の120パーセントを出せば必ず勝てると思うので、(最後まで)勝ち続けて日本に帰れるようにしたい」
プレスをかけ続け、カウンターの先鋒となって120分を戦い抜いた。当然、疲労はあるが、古橋はファイナルを見据えて、準決勝に挑む。