上写真=上海上港との第2戦でフル出場。悔しい敗戦になったが、大舞台を経験して次に生かす(写真◎Y.F.M)
簡単な失点は減らしていく
センターバックというポジション柄、失点に絡むのは宿命だ。上海上港との2戦目にフル出場した伊藤槙人は、この試合で喫した2つの失点について、同じ悔しさを経験しないで済むようにきちんと分析している。
まずは1点目。14分に横浜FMから見て右からのクロスに対して中央でカイ・フイカンにヘッドで叩き込まれた。伊藤の背中側に入られて、競り合ったものの触れなかった。
「コーナーキックのこぼれからのセンタリングでしたけど、僕が最初に(CKを)弾いたあとにラインを設定するときに、もっと首を振って相手の位置を確認しておけばよかったと思います。攻撃が切れるまでは集中を切らしてはいけないと話していたので、そういうところは本当にやらせてはいけないポイントでした」
もう一つは55分。こちらから見て左サイドのスローインからリカルド・ロペスにドリブルで運ばれ、オスカルとのワンツーで抜け出すところで伊藤もついていったが、振り切られてフィニッシュを許した。
「相手がスピードを持ってきた状態で、真ん中にドリブルを仕掛けてきてからワンツーだったと思うんですけど、そこも僕がついていかなければいけなかったと思います。特に何もないところからの失点だったので、もっともっと集中力を高めてああいう簡単な失点は減らしていかなければいけないと思います」
引き分け以上でラウンド16進出が決まるゲームだったが、敗れても次戦で引き分け以上であれば突破できる状況になった。だから、いわば「最も傷の浅い敗戦」ではあったわけで、そこで貴重な反省をあぶり出したことはもしかしたら幸運だったかもしれない。
アジアの大会だからこそ難しいのはレフェリングへの対応で、伊藤自身も30分に警告を受けた。やや不可解な判定だが、その「正しさ」に深く立ち入らない冷静さを持ち合わせている。
「なんでだろう、という部分は持ちながらやってましたけど、試合中に選手同士で、しょうがないので、もう1枚出たら退場になるし、ケアしてやろうと話はしていました。慣れていくというか、試合を通してフィットさせなければいけないのかなと思います」
それはラフプレーに対しても同様だ。FC東京のディエゴ・オリヴェイラが上海申花の選手に明らかに危険なプレーを浴びて負傷退場するなど、事は深刻だ。
「(上海上港との)1試合目からラフプレーというか際どいプレーが多かったですが、そこはみんなすぐ分かりました。それでも僕たちはボールを保持して攻めていくスタイルはやめません。持ちすぎないようにテンポ良く回していけば相手は疲れてくると思いますし、やり続けるしかないと思います」
一切逃げるつもりはない。「自分たちのリズムを崩さないようにしようとみんなで声を掛け合っていました」とチーム内でコミュニケーションが取れているだけに、意に介さないでプレーに集中できているようだ。
「自分たちのサッカーは特殊といいますか、相手が捕まえづらいポジションを取ったりサイドバックが中に入ったりしますから、まだまだ捕まえられていない部分も多いと思います。僕たちのサッカーが通用する自信はありますね」
まずは次節の全北(韓国)戦でしっかりと戦って、グループステージ突破を決めてしまおう。