上写真=チームの3点目をスコアしたイニエスタ。1得点1アシストの活躍だった(写真◎Getty Images)
■2020年11月25日 ACL第3節
(リモートマッチ/@カタール・ハリファインターナショナル・スタジアム)
広州恒大 1-3 神戸
得点:(広)オウンゴール
(神)古橋亨梧、ドウグラス、イニエスタ
・広州恒大メンバー:GKリウ・ディエンズオ、DFジャン・リンポン(10分:ジョン・ジーチャオ)、メイ・ファン、タィアス・ブラウニング(80分:ヤン・リーユー)、パク・ジス、MFヤン・ディンハオ(46分:シュ・シン)、リャオ・リーション(46分:フー・チャオ)、FWアロイジオ(46分:リカルド・グラル)、アンデルソン・タリスカ、エウケソン、ウェイ・シーハオ
・神戸メンバー:GK前川黛也、DF西大伍(90+2分:佐々木大樹)、菊池流帆、トーマス・フェルマーレン、山川哲史、酒井高徳、MF山口蛍、郷家友太、アンドレス・イニエスタ(90分:安井拓也)、FW藤本憲明(69分:ドウグラス)、古橋亨梧
ホットラインで先制点
見違える戦いぶりだった。J1で5連敗していたチームとはまるで別の顔を見せたと言っていい。中国の強豪クラブ相手に神戸は前半から合間、合間に動いてしっかりボールをつなぎ、プレッシャーをかいくぐってみせる。守備の局面でも広州恒大の強力アタック陣にタイトな守りで対応。試合開始から高い集中力を維持し、相手のシュートに対して、きっちり体を寄せた。
とくに前半は気持ちのこもったプレーで相手を上回り、ゲームのペースをつかんだ。そして前半終了間際には待望の先制点を奪う。左サイドでホットラインが見事に開通した。敵陣深く進入したイニエスタがボックス横からドリブルで進入。相手DFが慌てて寄せてきたが、敵の間を抜くようにパスを通し、古橋が冷静にゴールに蹴り込んだ。
神戸ペースのまま前半を終えて迎えた後半。相手は選手3人を交代させ、攻撃に圧力をかけてきた。相手の鋭い出足に気圧された神戸は守勢に回り、55分に失点してしまう。相手CKの場面で競り合いながら山川がヘディングしたが、ボールは自軍のゴール方向へ飛んだ。古橋が防ごうと体を投げ出したが、無情にもオウンゴールになってしまった。
神戸にとっては予期せぬ失点だった。しかし、この日はJ1で5連敗したチームとは違う。ヘッドダウンすることなく、すぐに相手をゴールを目指していった。69分に藤本に代わって登場したドウグラスが大きな仕事をやってのける。74分、山口のパスを西がフリック。ドウグラスがボールを収めてそのまま相手の裏へと抜け出し、相手GKと対峙すると迷わず左足を振り抜き、ネットを揺らした。
ドウグラスの投入から攻撃のギアが入った神戸は勝ち越しゴールで、さらに勢いを増す。84分にはドウグラスの左からパスを受けたイニエスタが決めて、3点目をスコア。シュートは一度はDFにブロックされたが、こぼれ球を自ら拾って相手の寄せよりも早く右足を振り抜いた。イニエスタはこれ1得点1アシスト。まさに格の違いを見せつけるプレーぶり。神戸はそのままゲームをクローズさせ、再開初戦を快勝でモノにした。
三浦淳寛監督は「Jリーグでは難しい状況がありましたけど、この試合での勝利をきっかけに、さらなる結果につなげていきたい」と話した。この勝利で神戸はグループGの首位を守り、早々とラウンド16進出を決めることになった(ジョホールが出場を辞退したため、3チームで争われており、神戸は唯一、2勝を挙げている)。次は中2日で再び広州恒大と対戦するが、選手起用も含め、余裕をもって大会を進めていくことが可能になったのは大きい。アジア制覇を掲げる神戸にとって、この1勝は、ただの1勝ではない。非常に価値のある1勝だろう。