上写真=率直な思いを口にした山口蛍。チームを思うがゆえの指摘だった(写真◎VISSEL KOBE)
危機感を持たないといけない
11月に入ってから、ヴィッセル神戸には勝利がない。最初の2試合は複数失点を喫し、続く2試合は、ともに無得点に終わった。
この現状を、山口蛍はばっさりと斬る。
「攻守両面において一体感を持ってやるというのが欠けているかなと思います」
山口は率直だ。「攻守両面においてのサポートにしても、そういうのが足りないのかなと思うし、一人ひとりがバラバラなことをしてしまっていると感じる」。
「オレは動いていたからとか、そういう『自分は関係ないよ』みたいなことが多いかなと思う。そのすり合わせはもうちょっとやっていかないと。これだけ得点を取っていて勝てないというのは、失点もそれだけしているということ。これだけ点を取られたら、もう少し危機感を持たないと、というのは少し感じます」
言うまでもなく、シーズンは終盤、さらに言えば大詰めに入っている。18日の浦和戦は、今季のホーム最終戦だ。「内容よりまず結果で示さないといけないと思う。その後すぐにACLに行かないといけないので、ホームのサポーターにプレーを見せられるのは最後になる。今まで、どういうサッカーしたいとかきれいなことを言っていたと思うけど、ここまで来たらそういうのは抜きにして、結果にこだわっていかないといけないと思う」。
山口がそう言い切るのも、タイトルが手に届く位置にあるからだ。集中開催となるACLで、初挑戦とながらも優勝へ一気に駆け上がる可能性はある。ただし、そのためには、より結果にフォーカスするリアリストになる必要がある。
「ACLは過去、日本のチームが優勝している。でも、Jリーグでやっている戦い方がそのままACLでできて勝てるかというと、結構そうじゃないことが多い。浦和がシュート何本も打たれても勝ち切る試合を見たりすると、チームとして攻守にわたり一体感を増すことが、今はすごく大事だと思う」
山口が苦言を呈するには、確固たる理由があるのだ。その変わっていく姿を見せる第一歩が、浦和戦となる。
取材◎杉山 孝