上写真=札幌戦で敗れた悔しさは忘れない。鬼木達監督は続く鹿島戦必勝を誓う(写真◎Getty Images)
「すべての試合を決勝のつもりで」
11月14日朝の段階で、川崎フロンターレの優勝が決まる最短のスケジュールは、18日だ。条件は、2位のガンバ大阪が14日15時キックオフのベガルタ仙台戦で敗れ、川崎Fが14日17時キックオフの鹿島アントラーズ戦、18日19時キックオフの横浜F・マリノス戦に連勝すること。
前節は、今季2度目の黒星を北海道コンサドーレ札幌から突きつけられた。ミスを狙われて0-2。ただ、敗戦も滋養にするのが今年の川崎Fだ。
札幌戦のあとは「中10日」となり、余裕ができた。鬼木監督は「札幌戦の経験を踏まえて、質のところをもう一度確認しました。自分たちでボールを持つところやプレスのかけ方など、いろいろなところで再確認しました」と整理した。その方法の一つが「いろいろな刺激」と鬼木監督。
「みんなにいろんなポジションをやってもらったんです。当然それぞれ自分の得意のポジションはありますけど、基本的にはサッカー自体を理解していればどこのポジションでもうまくできるという考えがあるんです」
逆に、うまくプレーできなければ、理解していないということになる。
「各ポジションでそれぞれの難しさがあるので、いつもとは違うポジションを自分でやってみて、いつも要求していることが難しいんだなということを感じてもらえればと。例えば前の選手が出してほしいと言っていたタイミングが、後ろのポジションに入ってみると出しづらかったり、後ろから前の選手にプレスに行けと言っていたけれど、前に入ってみたら難しかったり」
その狙いは効果を発揮したようだ。田中碧がそのことを楽しそうに語っていて、「そうやって言っているのであれば、うまくいったことになりますね」と鬼木監督も笑う。
そんな刺激を注入したのも、札幌に敗れたことで目が覚めたからと言えるかもしれない。鬼木監督も「勝ち続けていたことで薄れてしまうようなところもあるので、もう一度立て直そうという思いでいました」と、リスタートへの誓いを込めた。
ここから始まる4連戦は優勝を意識せざるを得ない、いわば「Vロード」。札幌に敗れたあとの、いわばリカバリーの試合の相手が鹿島アントラーズだということは、幸運かもしれない。骨太の相手をきっちり倒すことができれば、一気に勢いがつく。
「この前の札幌戦もそうですけど、相手はうちとやるときは気持ちを一段も二段も上げてきます。そこのところの勝負になってくるので、すべての試合を決勝のつもりで戦おうと話しました」
強い気持ち。それを伝統的に武器にしているのが鹿島であることに異論はない。鬼木監督も選手として所属して、その凄みを体現してきた一人なのだから。
「戦う部分は鹿島のベースです。そこのところで負けてしまったら何もできないと思うので、そのスタートラインに自分たちが立てるかどうか。立てれば良さを発揮できるでしょうし、緊張感あるゲームだからこそ楽しまなければいけません。そこまで持ってくることができれば、自分たちの成長を感じられる試合になります。気持ちの部分を受けるのではなく、もう一つ上回っていけるメンタリティーを出しながら、サッカーでは自分たちの良さを攻守で全面に出すことをやっていきたい」
さあ、いよいよ、ファイナルカウントダウンだ。