上写真=声で味方を勇気づける波多野豪。今季4試合目の無失点にこの笑顔!(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月11日 J1リーグ第33節(@味スタ:観衆6,357人)
FC東京 1-0 札幌
得点者:(東)永井謙佑
「僕の出番はなかったというか」
3試合連続の先発出場で、ようやく完封勝利だ。波多野豪は「キーパーはどうしても失点はあるけれど、無失点が一番の目標でやるべきことです。目に見える結果を出すことができて良かった」とにっこり笑った。
身長198センチの恵まれた体格を生かし、シュートストップに強みを持つ守護神は、今季J1デビュー。これでゴールを守った7試合のうち、4試合目のクリーンシートとなった。ただ、ここ2試合は柏レイソルに3失点、川崎フロンターレに2失点と複数失点が続いていて、この札幌戦こそは、の思いをプレーで表現した。
札幌は好調の波に乗って序盤から攻め立ててくる。前線で選手が入れ替わりながら目先を変えて攻めてくる札幌の特徴的な攻撃に対しても、「中の選手が細かく動いていたんですけど、受け渡すところやスライドの部分はしっかりコミュニケーションが取れていました」と自信を持って対応できた。
FC東京が21分に永井謙佑のゴールで先制すると、札幌はアンデルソン・ロペス、ドウグラス・オリヴェイラ、ジェイと長身のアタッカーを次々に投入、パワーを持ってゴールに襲いかかってきた。
「背の高い選手が出てきたのでしっかりマークをつくようにしていて、自分もハイボールで出られるところは出ようと思っていたので、そこはしっかりできて守れてよかったと思います」
高さなら負けない。
「絶対に勝利がほしかったので、勝てて良かったです。無失点という結果も残せました」
「試合に出ないと分からないこともあって、この数試合で自信になってきたのでとても良い時間を過ごせていると思います」
次から次へと前向きな言葉が出てくる。これこそが波多野の真骨頂で、最高の武器だろう。つらくても、しんどくても、大きな声でポジティブな言葉をどんどん発していく。チームメートがパワーをもらえるのはもちろんだが、声を出して応援できないいま、ピッチの声を聞き取ることができるサポーターまで元気で笑顔にする。スタジアム全体を最高の味方につけてしまう魔法の声。
「(ルヴァンカップ決勝が延期になったが)決勝がなくなってもみんな落ち込むというのはなくて、高いモチベーションでこの試合に切り替えることができていました。だから僕の出番はなかったというか。でも、練習でも試合でもしっかり声を出して盛り上げて、チームが少しでも明るくなればと思っていました」
名古屋グランパス、ベガルタ仙台とのアウェーゲームを戦うと、いよいよアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)だ。カタールでの集中開催で狙うのは、もちろんアジアの王座。
「ACLもあるので、そこに向けて残り2試合も勝って、高いモチベーションで臨んでいこうと話しています。雰囲気はとても良いですよ」
アジアの舞台でも、その大きな声が仲間に勇気を与えるはずだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE