上写真=21分、得意のカウンターから永井謙佑が蹴り込んでFC東京が先制した(写真◎J.LEAGUE)
■2020年11月11日 J1リーグ第33節(@味スタ:観衆6,357人)
FC東京 1-0 札幌
得点者:(東)永井謙佑
ミシャ監督「我々へのリスペクトだと思います」
ほとんど北海道コンサドーレ札幌が押し込むハーフコートゲームだった。FC東京が先制するまでは。
21分、相手のパスミスを森重真人がワンタッチで安部柊斗につけると、ターンして裏のスペースへ滑り込ませる。受けた永井謙佑がそのままゴールにまっすぐ運んでGK菅野孝憲との1対1を確実に仕留めた。ニアの隙間を抜くあたり、冷静さが光った。
ただ、それまでは札幌の思う通りに進んでいた。前節で川崎フロンターレの連勝を12で止める2-0の快勝劇を演じた戦いそのままに、前線からアグレッシブに奪いに出て、攻めては前線の3人が入れ代わり立ち代わりスペースから消えては入っていくローテーションで押し込んだ。
ピッチの端から端まで使う大きな攻撃も多く、特に左サイドの福森晃斗やルーカス・フェルナンデスから右サイドの金子拓郎へのサイドチェンジが効いていた。あるいは、右の金子から左のルーカス・フェルナンデスへと揺さぶって、折り返しに宮澤裕樹が突っ込む失点直後のビッグチャンスのように逆のパターンも。その中で、33分にチャナティップを負傷で交代させなければならなかったことが痛かった。
札幌は後半開始からドウグラス・オリヴェイラを投入して前線にパワーと高さを加え、圧力を高めていく。50分にはCKの流れから宮澤が至近距離からヘッドで狙うがGK波多野豪がセーブ、55分にはアンデルソン・ロペスが1対1になるところで相手のスライディングにあい、62分には右からのきれいな崩しから金子が折り返し、ドウグラス・オリヴェイラが落として駒井善成が狙うが、枠の外。いずれもゴールには結びつかなかった。
これで逆に、FC東京は守備でリズムを取り戻していった。終わってみれば、1-0の逃げ切り。7試合ぶりの無失点で、4連敗を脱出した。
札幌のペトロヴィッチ監督は結果を悔やみながらも、何度も押し込んだ内容については高く評価。「立ち上がりから攻撃的な、アグレッシブに奪いにいくサッカーを90分、見せることができました。相手のチャンスは1回ぐらいしかなかったのではないでしょうか。こちらは3〜4回あった決定機を決めきれなくて敗れました。(FC東京が)守備を固めてカウンターを狙うという戦いを選択し、実行すること自体が我々へのリスペクトだと思います」
この勝利で4連敗を脱し、FC東京のJ1通算ホーム150勝に。長谷川健太監督は粘り強さを勝利のポイントに挙げた。「奪ったあとに札幌が切り替えてくるので前線に運べない時間が続きましたが、安部がタメを作って永井のスピードを生かした東京らしい攻撃で点が奪えました。もっと押し込んでという狙いもありましたけど、ボールを持たれる時間が長く、(札幌が前節で)川崎に勝った好調のままで来たので、辛抱強く自分たちの武器を生かして得点を挙げられました」
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE