上写真=決勝点を決めてガッツポーズを見せるエヴェラウド(写真◎J.LEAGUE)
■2020年10月24日 J1リーグ第24節(@カシマ:観衆7,466人)
鹿島 1-0 広島
得点:(鹿)エヴェラウド
(広)なし
「息子から要望がありました」
「自分たちもチャンスを多く作っている中で、相手の攻守の切り替えも速く、オープンなゲームになっていました」
そのように試合展開を振り返ったのは、鹿島のエヴェラウドだ。前半から目まぐるしく攻守が入れ替わる攻防戦。ただ、前節まで12ゴールを挙げていたブラジル人ストライカーは、前半のシュート数はわずか1本に終わった。
後半もなかなかシュートチャンスを作れなかったが、「(後半30分に)上田(綺世)選手が入ったことによって、僕は左サイドでプレーすることになった」と、センターフォワードから左サイドにポジションを変えると、すぐさまチャンスが訪れる。後半31分、三竿健斗が自陣からロングボールを前線へ送ると、落下地点にエヴェラウドが待っていた。
「三竿選手から真っ直ぐな、きれいなパスが通った。(ロングボールを相手の)ディフェンスの前で、ゴール方向に向かって胸トラップできた」と、エヴェラウドは相手DFを置き去りにし、ゴールへと突進。「後追いでディフェンスが2人来ているのは視野に入っていたし、(相手の)キーパーが出てくるのも見えていた。『思い切ったシュートを打とう』と選択して、それが良い形でゴールにつながった」。右足を振り抜いてゴールネットを揺らし、この試合の決勝ゴールが決まった。
「チームとして狙いとすることがしっかり出た得点だと思います。そういう意味では、素晴らしい得点になりました。ボールを奪ってから縦への速い攻撃を意識したものだったので。自分にとっては日本で決めた得点の中で、一番きれいな得点」と、一連の得点シーンを振り返る。
ゴール後、エヴェラウドは鹿島のサポーターが陣取るゴール前を疾走し、それから高く飛び跳ねて仁王立ち。試合後にゴールパフォーマンスについて、笑みを浮かべながら話した。
「4歳の息子はクリスティアーノ・ロナウド選手がものすごく好きで、そのゴールパフォーマンスをよくマネしているんです。息子から「次に点を決めたらそのパフォーマンスをしてくれ」と要望がありました。日本に来ていろいろと大変な彼を喜ばせることができないかと思い、あのパフォーマンスをしました」
チームを2連勝に導く決勝ゴールは、エヴェラウドの愛する息子も喜ばせるものともなった。今季13点目。ただ、自身のゴールよりも「チームが勝ち点3を得たことに喜びを感じている」とエヴェラウドは話す。
「得点を取るために僕は雇われたので、それができれば自分の仕事を果たすことになります。ただ、それよりも自分たちは勝ち続けなければいけない。ロッカールームで『9回の決勝』という合言葉を選手の間で発しました。(広島戦からの残り9試合を)一つずつ勝つという目標を全員でやり遂げることができればなと思います」
「9回の決勝」のうち、まずは広島を撃破し、今季のJ1リーグ戦は残り8試合。仲間とサポーター、そして家族を喜ばせるために、エヴェラウドは勝利を呼び込むゴールを狙い続ける。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE