明治安田生命J1リーグの現チャンピオン、横浜F・マリノスが連覇の望みを絶たれた。残り8試合に全勝しても勝ち点で首位の川崎フロンターレに届かないため。扇原貴宏はその事実をしっかりと受け止めながらも、マリノスらしさの追求を止めない。

上写真=戦いはまだ終わらない。扇原はリーグ戦とACLで高みを目指す(写真◎Getty Images)

「連覇する力がなかっただけ」

 10月17日のJ1第23節、アウェーのセレッソ大阪戦は1-4で敗れた。今季10敗目となり、勝ち点は38に留まった。翌18日、首位を走る川崎フロンターレが名古屋グランパスを下して勝ち点を65に伸ばした。

 11月の集中開催が決まったアジア・チャンピオンズリーグに参加するために、横浜FMは他クラブより消化試合が多く、残りは8試合。全勝しても川崎Fに追いつけないことになってしまった。連覇消滅。扇原貴宏は悔しさをぐっと飲み込む。

「要因はさまざまあると思いますが、自分たちに連覇する力がなかったというだけだと思っています。過密日程で勝てる力がなかったととらえています。他のチームと状況は変わらない中で、結果を残せなかっただけ。まだまだ力が足りなかったと受け止めて、もう一度さらに強いチームになるために成長していきたいと思っています」

 確かにC大阪戦は、小さなズレが重なっていった。アンジェ・ポステコグルー監督が「選手たちは疲れていた。私は選手たちを守りたい」と話したように、体が重かったのは否めない。扇原自身もパスを狙われてインターセプトされるシーンもあり、C大阪の守備網をなかなか破れなかった。それでも、ビッグチャンスは作っている。

 37分に松原健の右からの高速クロスにエリキがヘッドで合わせたシーンや、39分に扇原が右に大きく振ったところからの攻撃で、最後はマルコス・ジュニオールが豪快なミドルシュートを放ち、GKがこぼしたボールが入るかと思われたが左ポストに当たって跳ね返った場面。この2つのチャンスが象徴的だが、最終的にスコアシートに記録されたのは、90+1分にティーラトンの左からのクロスを水沼宏太がヘッドで押し込んだ移籍後初ゴールだけだった。

 そのチャンスを作ったエリキは試合後、こんな風に話している。

「私たちのサッカーをやろうと臨んだけれど、最初に失点して(10分)流れに乗れませんでした。すべて成功することはできないし、勝ち続けるのは難しいことです。成功が15パーセントでそうではないことは85パーセントかもしれません。F・マリノスというチームは今日はダメだったけれど、ずっとダメだということはありません。私たちにはまだ目標がありますから、立ち直って次に向けて準備したいと思います」

 次への道筋で大切なのが、目の前の試合。10月21日には名古屋グランパスを迎える。名古屋が5位、横浜FMが7位。順位の近いチームだからしっかり叩いておきたい。扇原も再スタートに力を込める。

「選手たちはマリノスのサッカーを体現したいと思っています。(C大阪戦は)自分たちの力不足と受け止めています。やっている選手が責任をもってプレーしなければならないし、ああいう結果を招いたのは力不足です。次にホームでサポーターの皆さんにいまのF・マリノスを期待してもらえるようなサッカーをしたいと思います」

 扇原の出場試合数26はチーム最多、出場時間1741分は喜田拓也の1795分に続いて2番目に多い。チームの屋台骨として、リーグ戦の残り、そして「開催されることがうれしいです」と話すACLでアジア王者になるための戦いに挑んでいく。


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