上写真=前回の対戦はメンバー外。出場して自分の力で勝ちたいと誓う(写真◎FC東京)
「シンプルに勝利に導きたい」
ルーキーなのにルーキーらしくない。その落ち着いたプレーでFC東京の最終ラインに安定感をもたらしているのが、中村帆高だ。
J1リーグ、JリーグYBCルヴァンカップ、アジア・チャンピオンズリーグと大会が目白押しでローテーションを強いられているFC東京にとっては、左右どちらのサイドバックもこなせる貴重な存在。小川諒也が左、中村拓海が右で固定して使われているだけに、中村帆がいなかったら…と思うとゾッとする。
「自分の感覚では何もできていないんです。結果も出せていないし、自分の甘さで失点していることが多くて、まだまだ貢献できているとは思っていないんです」
左サイドバックに入った第16節のヴィッセル神戸戦でのプレーを悔やんでいる。24分に神戸に許した最初のゴールで、カウンターを受けて何とかスライディングするものの届かずに古橋亨梧に打たれ、これはポストが弾いてくれたものの、こぼれ球を拾った古橋に寄せきれずにゴール前に横パスを通されて安井拓也に決められてしまった。
いつもの右ではなく、左でプレーしたことも関係しているようだ。
「右か左かによって役割が明確に与えられていて、左はしっかり守備で堅くやってくれ、機を見て前に行けるときは行くように、という感じです。左だと守備の面では体の向きや感覚が…伝えるのは難しいんですけど、一歩詰めるところとか足を出すタイミングや感覚が変わってきます。神戸戦ではそこが甘くて失点してしまったので、右で出るとき以上にディテールにこだわってやっていかないと」
ここ2試合はベガルタ仙台に1-0、セレッソ大阪に2-0と連続完封に成功している。これが自信になっていく。
「2試合無失点はシンプルにうれしいと思ってるんですけど、(渡辺)剛くん、森重(真人)さんと素晴らしい人がついてくれているので、思い切り守備に行けます。すごく助けられていますね。頭の中も整ってきたので、失点ゼロにはこだわっていきたいです」
「自分の強みとしては、対人のところや(ボールに)アタックするところですけど、逆にその裏返しで背後に相手に走り込まれるスペースがあります。そういうところでまだまだ甘さがありますし、自分のミスを剛くんがカバーしてくれるところがあって、この2試合で学べてきているところあるので、吸収したいと思います」
次はサガン鳥栖が相手だ。今季のホームでの対戦では2-3で敗れて鳥栖の今季初勝利を献上してしまった。鳥栖の2点目を決めたのは森下龍矢。明治大学サッカー部の同期だ。
「この前の鳥栖戦は自分はスタンドから見ていたんですけど、シンプルにチームが負けて悔しかった。そして、点を決めたのが明治の同期の森下だということもあって、悔しさが2倍になりました。だから次は自分が出て、シンプルに勝利に導きたい。森下には絶対に負けたくないですね。同じピッチに立てれば負けないようにしたいと思っています」
倍にされた悔しさを晴らすために、倍々返しで叩きのめしてやろうと誓うのだ。