上写真=鹿島の砦となる沖悠哉(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月23日 J1リーグ第18節(@カシマ:観衆3,194人)
鹿島 1-0 湘南
得点:(鹿)ファン・アラーノ
(湘)なし
「キーパーなので厳しく言う」。チームを鼓舞する若き守護神
0-0で迎えた後半アディショナルタイム。ファン・アラーノのゴールが決まると、鹿島の選手たちは歓喜に沸いた。そのとき反対の陣地では、この試合での“1点”を待ち望んだ守護神が、両手の拳を握りしめた。
鹿島は湘南を1-0のスコアで破り、7連勝。GK沖悠哉はデビュー戦以来、9戦無敗。地元・茨城県鹿嶋市出身の生え抜きは、第9節鳥栖戦に続く今季2度目の完封勝利を手に入れた。
「失点ゼロという結果は、守備陣としてうれしいこと。ただ、失点しそうな危ないシーンが2、3度あったので、そこは相手チーム(のシュートミス)にも助けられたのかな、という印象が残ります。ミスをしなかったり、未然に防ぐこともできたと思う。そこはまだ課題があるのではないかと」
勝利に安堵の表情を浮かべつつも、すぐに反省点を振り返る。「スカウティングの段階で、相手の前線には若くて速くて、体力がある選手がいると聞いていた。相手のカウンターには気をつけようと話していました」というように、実際に湘南の鋭いカウンターを何度か受け、決定的なチャンスも作られた。
前半37分には石原直樹に最終ラインの背後のスペースを突かれたが、沖が絶妙な間合いでループ気味のシュートを対処。後半16分にも石原に2度ゴールを狙われるも、1度目のヘディングシュートはポストに救われ、直後のシュートシーンでは沖が体を投げ出して防いだ。
結果的に湘南に最後まで得点を許さなかったことが、劇的な決勝ゴールの呼び水となったとも言えるだろう。
「ディフェンス陣もボランチも、みんなで声をかけ合ってリスク管理を徹底できていました。ただ、時間が経つにつれて、やはり集中力というのは切れてしまうもの。自分はキーパーなので、そこでも厳しく言うつもりでいました。それができたのではないかと思っています」
成長著しい21歳のGKの存在感もあり、鹿島は11年ぶりの7連勝を成し遂げた。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE