上写真=ピッチサイドから選手に指示を送るミシャ監督(写真◎J.LEAGUE)
札幌で監督キャリアを終える
ゲーム内容が良くても結果につながらない。そんな試合が続いている。前節の浦和レッズ戦も、同様だった。2点先行されながらも前半のうちに同点に追いつき、後半になって逆転に成功。チームが押し進めるアグレッシブなスタイルが存分に発揮されたが、残り15分に同点とされ、アディショナルタイムの失点で競り負けてしまった。
「結果に関しては監督である私が責任を持たなければならない。もちろん私は与えられた仕事をまっとうしていきますが、選手はよく戦ってくれているので心苦しい」と、ミシャ(ペトロヴィッチ)監督は試合後に自らの責任も口にしていた。
中2日で迎えると鳥栖戦を前に取材に応じた指揮官は、改めて浦和戦について振り返り、そして『覚悟』を語った。
「前節の浦和戦もここ最近と同じように内容では上回りながら結果が伴わない試合でした。(浦和戦後)この2日間で改めて選手たちと確認したことは自分たちがやっていることの継続、そして細かいところでの修正についてです。やっていることは間違いない。その中でいかに勝利に結びつけていくか。その点について話をしながら準備を続けてきました」
未勝利記録を伸ばしている状況にあるものの、クラブも現在のスタイルと目指す場所についてはミシャ監督と共有し、全幅の信頼を寄せる。そんな変わらぬサポートを受けた指揮官は「継続こそが勝利への近道」と改めて強調した。
「私はこの監督という仕事をして長時間を過ごしてきました。十分にプロの世界の厳しさは分かっています。結果に対する責任は常に監督である私にあり、勝てない時期が続けば職を追われていくのがわれわれの仕事。その中でクラブが、引き続き私と共にチームを作ってきたいという思いを発信してくれました。そのことに関して、もちろん私自身、うれしく、幸せな気持ちでいます。
47年間、選手として監督としてサッカーの世界で生きてきましたが、ここ札幌が、北海道が一番、幸せを感じる場所であり、コンサドーレはそれを感じるチームです。ここで仕事をすること、選手たちとともに戦うこと、クラブの方とともにチーム作りをしていくこと、応援してくれるサポーターとともにあることにこれまでのキャリアの中でも一番、幸福を感じています。だからこそ常にクラブのために、チームを強くするために私は仕事を続けたいと思っていますし、そして自分自身が札幌で自分の監督のキャリアを終える、そういう思いで仕事をしています」
ミシャ監督は、札幌で指揮を執ることの意義と幸福を語った。
「もちろん、勝てない時期が続いている中で、私自身も、選手も、応援してくれている皆さんも、クラブのスタッフも非常に苦しい思いをしていると思います。そういう厳しい状況の中ですが、われわれには目指す場所があります。自分たちのサッカーのスタイルの中で成功していく。われわれにははっきりと道が見えています。いま、結果が出ていない状況が続いていますが、我々にはしっかりとした志があり、未来がある。だからこそ、我々は前を見て次こそ結果を出すために全力で戦う。それを続けていきます。
長い中断期間のあと、連戦が続き、勝てない時期が続いていますが、われわれはこの時間を有効に使い、来年に向けてもチームを強くしていくこともやっています。目の前の勝ち負けにこだわっていきますが、それだけでも自分たちの目指すところには到達できない。応援してくれる皆さんにも苦しい思いをさせていると思いますが、われわれと共に目指す場所へ道を進んでほしい。クラブも、同じです。我々は一つの家族として、強い絆で進んでいるということを確認できました。やはりこのクラブのために、札幌のために、北海道のために、引き続き自分の全力を尽くして仕事をしていきたいと思っています」
勝利を目指し、そして未来も見据えて進むこの道をゆく。欲張りに二兎を追うがゆえの苦悩の中に今はある。だが、その先に成功があるーーそう指揮官は語った。
今夜の鳥栖戦で、10戦ぶりの勝利をつかめるか。活動再開後3戦負けなしの相手に対し「切れがあるし、いい内容のサッカーをしている。難しい試合になる」とミシャ監督。難しい試合を全力でモノにして、進む道の正しさを示すと誓った。