上写真=値千金の決勝ゴールを決めたも宮代が絶叫!(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月9日明治安田生命J1リーグ第15節(@等々力/観衆4,778人)
川崎F 3-2 神戸
得点:(川)小林悠、レアンドロ・ダミアン、宮代大聖
(神)古橋享悟、藤本憲明
等々力で決めて勝利に貢献できたのはうれしい
残り7分、試合の流れが変わった。川崎Fが1点を追っていた83分、レアンドロ・ダミアンのPKが決まって試合が振り出しに戻る。スタジアム内の雰囲気が一変する。
その2分後のことだった。川崎Fは自陣からカウンターに発動。ハーフウェーライン付近からドリブルで持ち上がった脇坂泰斗は、神戸のDFダンクレーにも当たり負けせずゴールへと突き進む。その背中を追っていったのが、脇坂と同じく66分に投入された宮代大聖だった。
「良い位置でボールを取って、ヤス(脇坂泰斗)くんがうまく抜け出して、最後は優しいパスをくれたので、流し込むだけでした。走り込んでいて、良かったです。自分はフリーだったので、出してくれたら決めるという強い気持ちを持っていました」
ボックス内で受けたパスを冷静にシュートすると、自身J1初ゴールとなる得点が決まった。これがそのまま、チームに勝ち点3をもたらす決勝点になった。
9月2日のルヴァンカップ準々決勝の神戸戦で、プロ初ゴールを決めていた。それに続くJ1初ゴールだが、「フロンターレには素晴らしい選手がいっぱいいるし、競走が激しい中で、結果を出し続けないとベンチにも入れないし、試合にも出られない。続けるというのは、すごく難しいこと」と浮かれる様子はない。アカデミーで育ちで、現在のチームのレベルの高さを肌で知る生え抜きなればこそ、だろう。
子どもの頃から「ホーム」として親しんできた等々力で決めた記憶に残るゴールだ。「素直にうれしいし、この等々力で点を決めて勝利に貢献できたことがすごくうれしいこと」と喜んだ。
高校3年生だった2018年にプロ契約を結んだが、そのシーズンは出番がなかった。昨季はレノファ山口に期限付き移籍して、J2で19試合に出場して2得点を決めた。トレーニングから見守る鬼木達監督は、「良いプレーが続いていた。むしろ気持ちもプラスされていた。これはいけるだろうというのはあった」と活躍を確信していた様子。予感が当たり、「点を取ることに関しては、人と違うものを持っている。得点だけでなくハードワークもできる。これからもどんどんハードワークにプラスして、ゴールにこだわってやってほしいと思っている」と、期待はさらに膨らむ。
普段はの表情は、どこかあどけなさも残るが、「1ゴールだけじゃ満足しないし、これからも取り続けないと試合に出続けることはできないと思うので、一日一日大切にやっていきたいと思います」。そう決意を語るときは精悍なストライカーの顔だった。
取材◎杉山 孝