上写真=山根に指示を伝える鬼木監督(写真◎J.LEAGUE)
勝てなかった思いを共有した
J1で首位を独走していた川崎Fの連勝が止まったのは、第12節の名古屋グランパス戦(8月23日)だった。今季初黒星を喫すると、続くヴィッセル神戸戦(第24節/8月26日)でも「負けに等しいゲームだったと認識している」(鬼木監督)という内容で引き分けた。
失速…と思いきや、チームは歩みを止めなかった。真夏の5連戦のラストとなる清水戦で、5-0と大勝。大幅に先発メンバーを入れ替えたが、3試合ぶりに戻ったホームで地力を見せつけた。
「名古屋、神戸、清水と、3連敗してもおかしくない状況だったと思う。人間がやることなので、10連勝という(J1)記録をつくった後というのは、どうしてもホッとしたり、緩みが出てしまう」。好調ゆえの落とし穴の存在を指摘した指揮官だが、続く言葉に自負を感じさせた。「相手も強かったけれども、自分たちの力を発揮すれば、ああいう結果にはならなかったと思う」。
2試合未勝利も、すぐに勝利をつかみ取った要因について、「前に行くという姿勢が出たのは、すごく良かった」と語る。そして、その強気を全員で貫いたことが成功へとつながった。
「勝てなかったという思いを共有して、(遠征に帯同せず)残っていたメンバーが『やってやろう』と一丸になったところがある。(名古屋戦、神戸戦と)2試合を通じて、もっと強気でやりたいと話していたが、頭で分かっていても、疲労していて体は動かなかった。動けるメンバーが体現しやすかったという面もあると思うし、実際に体現してくれたことがすごく大事だった」
チームとして一つ壁を乗り越えたからこそ、さらに加速すべきだと指揮官は強調する。明日2日の神戸とのルヴァンカップ準々決勝を、その舞台としたいという。
「神戸は各選手に質の高さがあるが、それを気にしすぎて受け身になるのではなく、何で自分たちがリーグ戦で首位にいるのか、どうやってここまで来たのかを、自分たちでしっかり意識してやるべきだと思う」
前述のとおり、鬼木監督は先日の神戸戦を、負けに等しい引き分けと認めている。だからこそ言う。
「まずは気持ち的にどれだけ強気でやれるかだと思う。守備のことばかりではなく、自分たちのスタイルは何なのか。ここまで点を取って勝ってきているので、自分たちの強みを出していい」
強いチームを率いる指揮官も、もちろん神戸戦は強気で指揮を執るーー。
取材◎杉山 孝