川崎フロンターレの中村憲剛が31日、オンラインによる取材に応じた。2日前のJ1リーグ第13節、清水エスパルス戦で左ヒザの負傷から復帰。約10カ月ぶりのプレーは時間こそ15分と短かったものの、「得るものが多かった」と明かした。

上写真=13節の清水戦で復帰し、いきなりゴールを決めた中村憲剛(写真◎J.LEAGUE)

小学生のときのような気持ちになった

 等々力陸上競技場に主が帰ってきた。J1第13節の清水戦、川崎Fが3点リードして迎えた77分に、中村はピッチに入った。昨年11月に負傷してから約10カ月ぶりの復帰ゲームだった。

 ファーストタッチでシュートを放った背番号14は、自分でも思いもよらなかったシナリオを描き進める。85分、ゴール前で相手のパスの乱れを見逃さず、目の前にこぼれてきたボールを直接シュート。GKの頭上を越えて、復帰戦の祝砲を自ら打ち上げた。

 試合後には、通信アプリ「LINE」や電話で送られてくるメッセージが止まらなかったという。翌朝には、試合に戻ったことをさらに強く感じることになる。「自分でも一番心配していた」というひざの調子は良好だったが、「それよりも全身が疲れていた。『そんなに何かしたっけ?』というくらい」という疲労感に襲われた。アディショナルタイムを含めて15分ほどの出場だったが、中村にとっては、それだけ濃密な時間だった。

 1カ月前に全体練習に合流したが、負担を考慮して制限なくフルにメニューをこなせるようになったのは、つい2週間ほど前のことだった。紅白戦でも長くプレーできる状況にはなく、今季から導入した4-3-3のフォーメーションは「多少、ぶっつけ本番のところはあった」という状態。「(4-3-3の)イメージはあったけど、実際に合わせながら。インサイドハーフがやることを考えて、どんな感じかなと確かめながら」という復帰戦になった。ようやく本当にチームに入ることができ、「15分だけど得るものは多かった」と話す。

 久しぶりの試合に、再認識することもあった。

「プレーする意義みたいものは、試合に出てナンボということだと思った。今までもそれは感じてやってきたけど、これほど試合から離れたことで、小学生のときみたいな気持ちになった。サッカーを本当に楽しむ。ピッチに入るまでは良いプレーができなかったらとか、足を引っ張ったらどうしようと考えたけど、ピッチに入った瞬間、ただただ楽しもう、選手としての自分の時間が戻ってきたように感じたので、それを謳歌しようと思った」

 初めて感じる疲れさえも収穫だ。「練習じゃ出ない疲労感。そこから超回復して、コンディションを上げていく。試合に出ないと、コンディションは上がらない」。濃密な15分間をスタートに、中村はさらに前進を続けていく。

取材◎杉山 孝


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