上写真=同点ゴールを挙げた広島のレアンドロ・ペレイラ(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月23日 J1リーグ第12節(観衆4,771人/@日産ス)
横浜FM 3ー1 広島
得点:(横)マルコス・ジュニオール、ジュニオール・サントス、エリキ
(広)レアンドロ・ペレイラ
あのゴールは自分の強み
ゴールの瞬間、頭ひとつ抜け出ていた。53分のFKの場面。ハイネルの右からのボールに合わせて飛び上がると、相手GK朴一圭が伸ばした手よりも高い位置で頭を振った。
「あのプレーは自分の強みだと思います。GKより早くボールに触ることを狙っていたのですが、それができたので、ゴールにつながったと思います」
1-1の同点に追いつくゴールだった。
190センチの長身を誇るFWだが、エアバトルを最大の武器としているわけではない。足下も抜け出しもうまい。ヘディングはレアンドロ・ペレイラの数ある特長の一つだ。ただ、迫力のヘッドはチームの大きな武器になり得るもの。城福浩監督も、こう言っている。
「(ゴールになった)あのヘディングの強さはわれわれも認識しているところで、ボールを引き出すところ、あるいは彼が厳しい場所に入っていくところに供給できるように、(チームとして)もっとレベルを上げていきたい。今日はある程度、周りが彼の持ち味を引き出そうとしてくれたし、彼をもっと使えばチャンスになるシーンもあったと思います。ただ、当たり前だが10回動いて10回パスが出てくるわけではない。10回彼が動いて2回か3回良いボールが出てくれば、ビッグチャンスになる。これを互いに続けることが大事です」
指揮官は破格の能力を備えるFWの力を、チームとしてまだ引き出しきれていないと考えていた。横浜FM戦であげた1点は、その意味で今後につながる1点だろう。最高到達点が他の選手よりもはるかに高いレアンドロ・ペレイラに合わせるボールを供給できれば、もっとネットが揺れるのかもしれない。
1節の鹿島戦で1得点、再開初戦の神戸戦で2得点(2節)、3節の大分戦でも得点して、松本山雅FCからの期限付き移籍期間を延長して臨んだ今季は開幕から3戦4発と派手なスタートを切った。だが、それ以降は出場機会を得ていたものの、ゴールをあげられなかった。ただ、本人に焦りはなく、久々の得点にも「何も特別なことはしてないですね。毎試合ゴールを狙っていました。今回決められたのは良かったです」と、そこに感情の揺れはない。やるべきことを全力でやってきたという自負があるからだろう。
それゆえに今後に向けてもスタンスは大きく変わらない。ゴールを狙う仕事、そして前線からの守備を黙々とやり続けていくつもりだ。
「良いプレーをしてチームに貢献したいし、勝利を手にしたいと思います」
指揮官が言うように、チームとして『レアンドロ・ペレイラ生かし術』を磨いていけば、おのずと得点が増えていくだろう。広島がいまフォーメーションのトップにいただくFWはそれだけの能力を備え、本人にもその用意がある。背番号39の本当の力が証明されるのは、これからかもしれない。