上写真=先制点を挙げたマルコス・ジュニオール(右)と2点目を挙げたジュニオール・サントス(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月23日 J1リーグ第12節(観衆4,771人/@日産ス)
横浜FM 3ー1 広島
得点:(横)マルコス・ジュニオール、ジュニオール・サントス、エリキ
(広)レアンドロ・ペレイラ
・横浜FMメンバー◎GK朴一圭、DF小池龍太、チアゴ・マルチンス、實藤友紀、ティーラトン、MF扇原貴宏、喜田拓也、マルコス・ジュニオール(70分:渡辺皓太)、FW仲川輝人(70分:松田詠太郎)、ジュニオール・サントス(77分:エリキ)、前田大然(77分:高野遼)
・広島メンバー◎GK大迫敬介、DF野上結貴(46分:松本大弥→83分:東俊希)、荒木隼人、佐々木翔、MF茶島雄介、ハイネル(63分:川辺駿)、青山敏弘、柏好文(72分:藤井智也)、浅野雄也(46分:森島司)、ドウグラス・ヴィエイラ、FWレアンドロ・ペレイラ
今季のベストゲームを披露できたと思います
目覚めた王者は強い。横浜F・マリノスが地力を証明する試合になった。
互いに激しく攻め合った前半の終わりに、横浜FMが先制に成功する。扇原の縦パスに反応した前田がボックス手前からワンタッチで右に流すと、ボールは相手DFとジュニオール・サントスを通過し、マルコス・ジュニ―ルのもとへ。待っていましたばかりに横浜FMのナンバー9は左足を振り抜き、ボールをゴール左隅に流し込んだ。
前半終了間際にパスワークで奪った得点は、横浜FMの持ち味が出た一発。ネットを揺らした時間帯も良く、後半もその勢いが続くかと思われた。だが、次の1点は交換開始から選手を2人かえて攻撃に出た広島が記録する。失点を引きずることなく、しっかり反撃体勢を整えていた。
敵陣右サイドで得たFKの場面でこの日、ボランチの一角を担ったハイネルが右足を入れると、レアンドロ・ペレイラが相手GK朴一圭の伸ばした手の上からヘッドを叩き込み、同点ゴールを決めた。湧き上がる広島ベンチとは対照的に、ホームチームのサポーターが集うスタンドは静寂に包まれた。
日産スタジアムが再び沸くのは、60分のことだ。この夏加入した横浜FMの新戦力が、前節の清水エスパルス戦に続き、その力を満天下に示した。右で作って左にボールを展開していくと、左サイドバックのティーラトンがゴール前にクロスを供給。ジュニオール・サントスがハイネルの背後から勢いよく飛び込み、打点の高いヘディングシュートを放った。あまりにも強烈な一撃に広島のGK大迫は反応できず。J1王者が再び1点をリードした。
この時点で残り時間は30分あった。当然のように、その後も横浜FMは守りに入ることなく3点目を取りにいった。互いに攻め合うオープンな展開になる中、アディショナルタイムに粘る広島の心を折ってみせる。前がかりになった広島の最終ラインの裏に扇原がスルーパスを出すと、斜めのランニングで飛び出したエリキが冷静に決め、ダメ押しゴールをスコアした。
得点時間は90+3分。勝利はほぼ手中に収めた。ただ驚くのはここから、なおも前に出たことだ。時計の針を進めるのではなく、王者は残り1分でも攻撃姿勢を崩さなかった。
「(2日前にスタッフの新型コロナウイルス感染が判明するなど)今回は難しい状況がありましたが、われわれは個性をしっかり持っていると選手には伝えましたし、その結果が昨年、優勝できた。試合前にも選手にすごい力を持っていると伝えて、その力を発揮して、今季のベストゲームを披露できたと思います」「最初からハイ・インテンシティのゲームになることは分かっていましたが、我々はそれを90分間続けることができ、相手はそれができなかった。去年、証明した通り、我々は前に前にという姿勢を続け、2-1の状況からでも3点目を取りに行き、結果として取ることができました。これが我々のサッカーだと思っています」
横浜FMにとって今季初の連勝は、王者の戦いを示した上で成し遂げられた。勝利への意欲、内容、結果、そして姿勢。指揮官が選手を称え、胸を張るのも当然だった。
現地取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE