上写真=オンラインで取材に答える安井(写真提供◎VISSEL KOBE)
やっぱりサッカーっていいな
ヴィッセル神戸は、アンドレス・イニエスタら世界的な名手を擁するリーグきってのタレント軍団だ。しかし、ここ3試合は白星から遠ざかる。失点も複数あり良くない流れだが、ポジティブな要素もあった。若い選手が出場し、結果を残すようになっているのだ。
安井も、そんな若手の一人だ。アカデミー育ちの21歳は前節、開始22分で負傷してしまったイニエスタと交代でピッチに入ると、終了間際に同点に追いつくドウグラスのゴールをアシスト。その後に失点して勝利は逃したものの、安井には手応えも残ったという。
これまでもベンチには入り続けていたが、先発は1試合のみで、まだ出場試合数は5試合に過ぎない。イニエスタ、山口蛍と同じポジションには実力者がそろっているものの、「もちろんスタメンで出たい気持ちは常に持っている。負けるつもりはない」と気おくれする様子はない。
ただし、前節のアシストは、単に負けん気がもたらしたものではなかった。「常に(出場に向けて)準備はしていたので、ビビることもなく試合に入れたというのが一番大きかったかなと思う」と安井。地道に続けてきた努力が、今季2番目に長い68分間の出場の中で結実した格好だ。
自己分析もできている。「中盤までのエリアでは、ある程度余裕を持ってプレーできている。ラストパスやシュートが、今の僕には圧倒的に足りない部分。そういうところで一本出たら、また自信を持っていけると思うので、そういうチャンスに顔を出すというのもそうだし、自分からも狙っていきたい」。ドウグラスへのアシストは、まさにそのとおりのプレーとなった。
最近の試合で出番を得ているのは安井だけではない。郷家友太は3試合連続で先発し、2戦連続ゴール。小田裕太郎も郷家と並んで2試合連続先発とアカデミーの後輩が躍動し、「刺激にならないと言ったらうそになる」。チーム内競争は厳しくなるばかりだが、安井は「負けたくない気持ちは強い」と繰り返した。
そうした環境で出場した前節を振り返る言葉が印象的だ。
「とても楽しくプレーできたので、やっぱりサッカーはいいなって思いました」
準備の時間も、スタジアムでのゲームも。安井は多くをポジティブな要素に変え、自らの成長を促していく。
取材◎杉山 孝