上写真=選手に指示を送る下平監督(写真◎Getty Images)
現役時代のザーゴは「うまいCB」
前節、横浜FCは4得点を叩き込み、湘南を下してシーズン2勝目、ホームでの初勝利を飾った。
「最下位争いになっている現状の中で勝たなければいけなかったというのがありました。これまでいい形を作れどもなかなか点が入らなかったということに関して、4得点取れたことも良かったと思います。欲を言えば、もっと点を取れるチャンスもありましたし、精度を上げていかなければいけないですけど、結果として4点取れたことで選手も自信になったと思います」
下平監督の言う通り、「いい形を作れども点が入らない」チームには勝利という良薬が何より必要だった。この1勝で進む方向性を確認できたことは大きい。ただ、やり方を大きく変えたわけではない。フォーメーションはルヴァンカップのサガン鳥栖戦を機に、3-5-2から4-4-2へ変更したが、後ろからしっかりビルドアップする信条はそのまま。守備面では前からアグレッシブにボールを奪いにいく形一辺倒ではなく、状況に応じてブロックを作る守り方を採り入れているものの、指揮官は後ろに重心を傾けることをヨシとしていない。心を砕いたのは、そのバランスの取り方とメリハリの付け方であり、実際、前述の鳥栖戦以降、攻守両面でチームの機能性は格段に上がった。
その上で、鹿島戦に向けて下平監督は独自の見立てを口にし、勝利を誓っている。
「(鹿島の)イメージとしてはもちろん、しっかりボールを握ってポゼッションして、今まで鹿島になかったものを一生懸命やろうとしているのが見えます。ビルドアップの形からしてもポジションを取る形からしても。ただなかなか結果が出ていなくて、逆に今まで鹿島がやって来たものの良さで、結果が出始めている感じもします。そのへんの融合というか、ザーゴがやりたいものと、鹿島の選手たちがもともと持っているポテンシャルが今、いい感じになってきているのかなと感じます」
「僕が言うのもなんですが、今までの鹿島が持っていたものが出ている方が結果も出ている感じがします。相手の方がポゼッション率が高かったり、自分たちがブロックを作らなければいけない状況になったときに結果が出ているというか。例えば、浦和戦がそうでした。攻めて攻めて点が取れなくてカウンターでやられてしまった。次の対戦がどういう展開になるかは読みづらいですが、そういうところのスキを突いていけば、勝機はあるかなと思っています」
下平監督は現役時代、柏レイソルでザーゴ監督とともにプレーしていた。すなわち、勝手知ったる間柄だ。プレーヤーとしてのザーゴ監督の印象を聞かれると、「うまいCBでリーダーシップがあった」と振り返った。二十数年の時を経て、次節で監督として対峙するが、すでに下平監督の頭の中には勝ち筋が浮かんでいる様子。むろん、ピッチでしっかり実行できれば、という条件付きだが。
「湘南に良い形で勝てたので、ここで連勝できればチームは勢いに乗れると思います。この勝利で自信を持てたと思う。それを確信に変えるためにも、勝利が必要だと思っています」
芽生えた自信を確信に。前節、裏天王山を制した横浜FCが今度は連勝に挑む。