上写真=世界を知るCBだった指揮官のもとで多くを吸収しようと犬飼は努めている(写真◎鹿島アントラーズ)
変わらぬ姿勢で神戸戦に臨む
8月に入り、鹿島アントラーズにはいい風が吹き始めているのかもしれない。1日のJ1第8節・大分トリニータ戦で4ゴールを奪うと、続く第9節ではサガン鳥栖を相手に今季初のリーグ戦連勝を飾った。さらに言えば鳥栖戦には、もう一つの「今季初」があった。ゴールネットを揺らされることなく、完封で90分間を終えたのだ。
いい流れにあるように見えるが、犬飼は「やっとという感じ」とクールだ。「やりたいことは変わらない。自分たちがボールを持って、主導権を持ってプレーする」と、プレーもぶれることなく続ける構えだ。
その根底には、ザーゴ監督との信頼関係があるのかもしれない。表面的には、これまでのプレーとは大きく変わっている今季の鹿島のサッカーだが、それを貫く考え方に、犬飼は共感する点が多いという。
「どちらかというと、(これまで自分がサッカーについて)思っていたことと、その通りだな、自分もそう思ってやっているわ、というのは結構感じます。納得できることばかりなので、『無理だよ』といったことは、まったくないですね」
かつて日本でプレーしたザーゴ監督だが、スペインやイタリア、トルコなどでもプレーした。特に5年間過ごしたローマでは、日本代表の柱であった中田英寿とともにスクデット獲得を経験している。しかも、犬飼と同じCBとして、だ。
そんな先達の言葉が、すんなり体に入ってくるのも当然か。「サッカー観とか、どうしたらいいかというのは、同じポジションとして見ても、やはり世界でやってきたんだなと感じることはあります。学ばなければいけないことはたくさんあるし、学べる環境にいるので、日々を大事にしたいなと思います」。
連勝でポジティブな空気がチームを包み、「勝っていった方が、パワーを使わずに次の試合に臨みやすい。負けたときより勝ったときの方が、スムーズにチームとしてレベルアップできると思う」と犬飼は語る。自分とチームをさらに高めていくために、変わらぬ姿勢でまずは16日のヴィッセル神戸戦に臨む。
取材◎杉山 孝