Jリーグは11日、NPB(日本野球機構)との第13回新型コロナウイルス対策連絡会議を実施し、午後には臨時の実行委員会を開いた。終了後に村井満チェアマンらがオンラインで会見した。Jリーグでもプロ野球でも選手・関係者に陽性反応が確認され、試合を中止するケースが出る中、今回の会議では喫緊の課題である「濃厚接触者の定義」と「濃厚接触疑い」段階での対応について話し合われた。

上写真=濃厚接触者の対応策についてJリーグは独自の対応策を示した(写真◎Getty Imgaes)

Jリーグが独自で『濃厚接触疑い』に対応

 Jリーグでは、名古グランパスの選手に陽性反応が確認されたために7月26日のJ1第7節名古屋グランパス対サンフレッチェ広島が中止となり、8月2日にはアビスパ福岡の選手に陽性可能性が確認され、J2第9節の大宮アルディージャ対アビスパ福岡が中止となった。いずれの試合も開始時刻までに「濃厚接触者」を特定できないことで、中止という決断に至っている。

 これらの例を鑑みて、今回の対策連絡会議では「濃厚接触疑い」のある選手・関係者がいる状況におけるチーム活動と試合開催について議論された。村井チェアマンは、今後も同様のケースが想定される中で、保健所による濃厚接触者の判定にはどうしても時間が必要となることから、「Jリーグとして独自の濃厚接触疑いの定義に関して議論を重ねた。検査方法も通常のPCR検査とは別に素早く結果が出る緊急検査法についての意見交換もした。複合的に考えていきたい」と説明。これまでに保健所から示された判定基準をもとに、Jリーグ独自の基準を設けて「濃厚接触疑い」の選手・関係者に対応していく考えを示した。

 濃厚接触者の判定は最終的に保健所が下すことには変わりがないものの、濃厚接触者特定が間に合わなかった場合には、自主隔離を行なって感染拡大の防止に努め、試合の開催についても判断することがあり得るとしている。午後の臨時実行委員会後の会見では、これまでの例を示しながら、Jリーグが基準と考える「濃厚接触判定事例」を明らかにした。

■以下は濃厚接触に指定されなかった主な事例
【試合】
・発症前にベンチ入り
・検体採取の2日前に45分間出場
【トレーニング】
・スタッフが発熱前に練習に参加
・スタッフが発熱日にホテルでミーティングに参加。スタジアムの更衣室に出入り
・陽性判定前数時間に練習参加
・発症日前々日に、前日の練習に参加
【移動】
・発症日に新幹線移動(4.5時間)。※マスク着用
・陽性者の隣で食事(新幹線)
・陽性者が発熱日にホテルからスタジアムへのバスに同乗
・陽性者を乗せてレンタカーで数時間運転(マスク着用、換気十分)
・検体採取翌日の遠征
【食事】
・選手寮スタッフ、発症前日に勤務(マスク着用、手袋などのケア)

■以下は濃厚接触に指定された主な事例
【移動】
・飛行機移動(約2時間)で(陽性者の)臨席と前の席
【食事】
・陽性判定の前日の食事
・発症日2日前の食事
【同居】
・チームスタッフが陽性→担当選手が濃厚接触

 防止策を徹底している試合やトレーニングに関して濃厚接触者と判定された例はなく、判定例のある移動や食事などについてはさらなる予防の徹底と、より細かに行動履歴を記録していくという。これらの事例をもとに暫定的な基準を設け、その基準については各保健所に伝達。その上でJリーグは保健所の濃厚接触者判定が下されるまでの『空白の時間』に、チーム活動やリーグ運営を進めていくとした。むろん、保健所の判断が出た時点で、それに従うとしている。

 また、実行委員会では現在、8月末まで延長されている『超厳戒態勢』を9月6日まで延長する考えも協議。その結果、収容人数5000人以下(収容率50%以下のどちらか少ない方)という現在の方式による有観客試合の開催が、さらに継続されることになった。これは全国的に感染拡大が続いている現状を踏まえ、今月24日に対策連絡会議、25日に実行委員会であらためて議論する必要があるからで、そのタイミングから『厳戒態勢』に移行するにはチケット販売等も含めて準備期間が短いことが理由。あくまで状況次第だが、仮に可能になるとしても観客数の変更は、9月中旬以降となりそうだ。


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