上写真=ルヴァンカップ敗退が決まったものの、カシマスタジアムに詰めかけたサポーターは、最後まで勝利への意欲を見せた選手たちに拍手を送った(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月5日YBCルヴァンカップ第2節(@カシマ:観衆2,591人)
鹿島 2-3 川崎F
得点:(鹿)伊藤翔2
(川)三笘薫、大島僚太、旗手怜央
「本来ならば、大きなブーイングを浴びてもいい」
新型コロナウイルスの影響で公式戦が中断したことにより、ルヴァンカップも大きくレギュレーションを変更。グループステージは全3試合で行なわれることとなった。そのため、第1節を落とした鹿島はあとがない状況。4-1と勝利した4日前のJ1リーグ・大分戦と同じ11人を先発のピッチに並べ、必勝を期して臨んだ。しかし、前半終了間際の失点を皮切りに、川崎Fに3失点。終盤に猛攻撃を仕掛け、FW伊藤翔が2ゴールを挙げるも、反撃は及ばなかった。
「悔しい気持ちでいっぱいです。ホームで見せる戦い方だったり、姿勢ではなかった。見に来てくださったサポーターや、テレビの前で応援してくれている人たちに対して、本当にふがいないし、情けない。申し訳ない気持ちです」
キャプテンのMF三竿健斗は試合後、そのように言葉を発した。本戦前のプレーオフで敗れたAFCチャンピオンズリーグに続き、早くも2つのタイトルを失うこととなった。昨季はタイトルこそ逃したが、すべての大会でベスト8以上の成績を収めている。名門・鹿島にとっては、今季からザーゴ新監督を迎えてチームの再構築を図っているとはいえ、早期敗退は受け入れ難い現実だろう。試合後には、カシマスタジアムに詰めかけたサポーターから拍手が送られたが、三竿の表情は硬いままだった。
「こういったコロナ禍での試合なので、声を出してはいけないということで、(サポーターは)拍手以外、できることがなかったんじゃないかなと思います。本来ならば、大きなブーイングを浴びてもいいくらい」
左腕にキャプテンマークを巻く三竿の頭には、本来ならば厳しくも勝利のために声を上げるサポーターの姿があるのかもしれない。ただ、今はそのような景色を見ることはできない。拍手を送るサポーターたちの心の叫び声に、必死に耳を傾けようとしているのだろう。敗戦の責任を背負い、失意を抱きながらも、また立ち上がって、次の試合に向かっていく。
「(次戦のJ1リーグ・鳥栖戦は)中2日なので、中3日(の試合)とは調整の仕方が違います。1日あるのとないのとでは疲労のとれ具合も違うので、食事だったり、睡眠だったり、そのリカバリー方法が大事になってくるかなと思う。(J1チームの出場権が限られる天皇杯を除いて)もう、取れるタイトルはリーグしかないので、しっかりとホームで、今日(序盤から)見せた戦い方ではなくて、ラスト(の時間帯)に点を取ったときのような姿勢だったり、そういうところを最初から出していきたいです」
「結果が出ていないときに、自分たちが何をするべきかは、自分たちが一番分かっている。次の試合で一人ひとりがもっと自信を持って、本来出せる力を出していきたいと思います」
サポーターに笑顔を届けるため、そして自分たちが再び勝利を重ねていくために。三竿はこれからも、鹿島アントラーズを背負って戦い続ける。
現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE