上写真=原がJ1初ゴールを決めて未来を明るく照らした(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月1日 J1リーグ第8節(@味スタ:観衆4,760人)
FC東京 2-3 鳥栖
得点:(東)レアンドロ、原大智
(鳥)石井快征、森下龍矢、趙 東建
もう一つの好機に「次は決めたいです」
場内アナウンスでは鳥栖の選手によるオウンゴールと発表されたが、後に公式記録では自分のゴールとして認定された。原大智、J1初ゴール!
サガン鳥栖に1-3でリードされたまま、時間ばかりが経過する。長谷川健太監督は20分と少しの残り時間を、191センチのビッグマンに託すことを決めた。69分、永井謙佑に代わってピッチへ。長谷川監督の狙いは「仕留めの迫力というところで原を右へ入れました」。それを受けて駆け出していった背番号24は、「まず1点を取ってこいと言われて、それを狙って入りました。結果が悔しい形で負けてしまいましたが、後半のようなチャンスを前半から出していければ」と振り返った。
86分のゴールシーンは、確かにオウンゴールと認定されるのも仕方ないと思えるものではあった。
ディエゴ・オリヴェイラの縦パスで完璧に右を割った室屋成がニアにクロスを入れたところで、アルトゥール・シルバが大きな体を折りたたむようにしてヘッド、GKが弾いたのだが、ボールはそのまま大きく真上に跳ね上がった。原はすかさず反応した。「キーパーが弾いたけれどコーナー(の判定)になっていなくて、チャンスがあるなと思ってキーパーに体をぶつけて何かが起きるように体を動かしました」
落ちてきたボールは「当たった感触がありました」ということだったが、相手DFにも当たって入ったようにも見えて、オウンゴールと発表された。だから会見の場では「自分のゴールになってほしいと思いましたが、勝ちにつながるゴールではないと意味がないと思うので、次に正真正銘のゴールを入れたいと思います」と淡々と話した。
結果的には「正真正銘」と認められたわけだが、決めたいシーンはもう一つあった。さらに1点を狙って猛攻を連続させたアディショナルタイム、左サイドのスペースに出たロングパスにアダイウトンが追いついて上げたセンタリングに、原が逆サイドから思い切り突っ込んでいき、DFの少し前に出て左足を思い切り伸ばした。しかし、ボールはそのほんの少し先を通り過ぎてしまった。
「得意なプレーでもあったので、一瞬遅れてしまって悔しい思いです。今後もああいうチャンスは来ると思うので次は決めたいです」
ほんの少し間に合わなかったのには理由がある。アダイウトンは中から外に向けて走っていったので、ボールに追いついたときには体はやや外向きだった。そこから強引にワンタッチでセンタリングを送ったのだが、あの体勢からあの腰の回転は普通は考えにくいもの。そのせいで原も「最初はワンタッチするかなと思って、でも途中で、あ、そのまま来そうだな、と思ったんですけど、0コンマ何秒の差で遅れてしまいました」と悔やむのだった。
「でも、連係は上がってきているので、次は取りたいです」とすぐさま言い放つあたりは、気持ちの良い負けず嫌いを感じさせる。
長谷川監督が「仕留めの迫力」と表現したのは、躊躇なくゴール前に飛び込んでいくまさにこのシーンのようなアクションだ。昨季J3で19ゴールを挙げて得点王に輝いたゴールセンスの持ち主。次はこのJ1の舞台で、と夢はふくらむ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE