上写真=柏戦の59分から出場し、2得点に絡んだ石原直樹(写真◎J.LEAGUE)
■2020年7月18日 J1リーグ第5節(@三協F柏:観衆2,645人)
柏 3-2 湘南
得点:(柏)オルンガ2、仲間隼人
(湘)松田天馬、石原直樹
ファーサイドは狙っていた
石原がピッチに登場したのは59分。その4分後に湘南に最初の得点は生まれた。GK富居大樹からのパスを受けた大野和成がピッチ中央の齊藤未月に速くて低いパスを送ると、齊藤は寄せてきた大谷秀和をかわしながら右へ展開。フリーの古林将太が左足でボックス内にいた石原にドンピシャのクロスを送った。
ファーサイドに動きながら完全柏DFの視界から消えた石原がヘディング。そのボールはGKに弾かれたが、こぼれ球に松田天馬が飛び込み、ゴールが生まれた。湘南にとっては、息を吹き返すゴールになった。しっかりビルドアップしてサイドに展開し、相手を揺さぶってネットを揺らした。
2点目はCKからだった。鈴木冬一が左足で蹴ったアウトスイングのボールに飛び込み、右足を合わせた。柏の三丸拡のマークを外し、ジャンプした古賀太陽が届かないと見るや、ボールの落下地点に見事に入り込んだ。本人も「ファーサイドは狙っていました」と振り返る、石原らしいゴール。
しかし、2つのゴールに絡んだにもかかわらず、勝利は手にできなかった。
「(自分が出場したときは)まずは2点差だったので一つずつ返そうということと、前でタメが作れていなかったので、入ったときには時間を作ろうと思っていました」
柏が2点をリードし、運動量がやや落ちたこともあるが、石原が登場して以降、湘南の攻撃はしり上がりに良くなっていった。実際に2ゴールを記録したが、あと一歩を及ばず。出口が見えそうで、見えない状態が続いている。ゲーム内容は悪くないものの、結果が出ない。
「ビルドアップのところで、動きが少ないと思っているので、もうちょっとサポートだったり、タイミングだったり、一人だけじゃなくて、二人三人と連動していかないと、もったいないと思います。距離感やサポートの場所だったり、選手の一人ひとりが、同じ方向、何をするのかをもう少し共有できないと。一つ一つのタイミングが遅くなったり、セカンドボールを拾えなかったり、探りながらやるのではなくて、もうちょっと明確にしていきたい」
1点目はまさに複数の選手が同じ絵をイメージした結果だろう。その数を増やすことこそが現状打破のポイントだ。そうなればまた、ラストパスをゴール変える『ビルドアップの終着点』として、石原直樹の存在がいっそう際立つに違いない。
現地取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE