上写真=7月16日の練習でも持ち味のスピードを発揮していた藤井(写真◎石倉利英)
再開初戦から出場機会が増加
シーズン開幕前の今年1月、当時まだ立命館大の3年ながら、2021年シーズンからの加入内定が発表されたMF藤井智也は、ほどなく特別指定選手として承認され、2月16日の今季公式戦初戦、ルヴァンカップの横浜FC戦でベンチ入り。87分から交代出場し、早くもプロデビューを果たした。
その後、鹿島アントラーズとのJ1リーグ開幕戦も控えに入ったが、出場機会はなかった。だが、3年から4年となって迎えた再開初戦の第2節、ヴィッセル神戸戦で86分から出場すると、大分トリニータとの第3節は63分から、サガン鳥栖との第4節は58分からと、徐々に出場時間を伸ばしている。
横浜FC戦は2-0、神戸戦は3-0で勝っている状態で出場したため、「無失点に貢献するためにも、少し後ろのポジションに入って、慎重にプレーすることが多かった」と藤井は振り返る。だが大分戦は1-0で追加点を狙う状況、鳥栖戦は0-0で均衡を破りたい状況での出場。持ち味のスピードを生かした突破からのアシストや、自らの得点など、目に見える結果がチームの勝利につながるシチュエーションで、多くの出場機会を得た。
「長い時間、出ることができて、スペースも空いている状況が多い。ドリブルでの仕掛けや、スピードに乗ったプレーは出せているし、これからも出し続けなければいけない」と語るように、特に鳥栖戦では左サイドからの突破で見せ場を作った。だが大分戦も含めて、2試合でアシストや得点はなし。「クロスの一つ前のタッチの正確性と、最後のクロスの質を上げなければいけない」と課題を見いだしている。
スピードが相手の脅威になっていることは間違いないが、「縦への突破はできていますが、そこで良いクロスを上げることができなかったら、突破していないのと同じ。中央に力を使って入ってくる選手の体力を奪っているだけ、ということにもなる」と厳しい視線を自分に向ける。広島は今季公式戦3連勝の好スタートを切ったものの、大分戦で敗れ、鳥栖戦も引き分け。チーム3試合ぶりの勝利のためにも、目に見える結果で貢献したい思いは強い。
再開初戦から3連戦をこなし、18日のセレッソ大阪戦から再び3連戦となるが、「もともと、あまり疲れが残らないタイプなので大丈夫」と力強い。サイドアタッカーは1試合、さらにシーズンを通してスタミナを要求されるだけに、チームのカギを握る存在となる可能性もある。「質を高めたいし、やり続ける気持ちも持ち続けなければいけない。一つ、結果を残したいし、それができれば自分の中で良い変化があると思う」。アシストにせよ、得点にせよ、プロで初めて結果を残すことが、広島を勝利に近づけることになる。
取材・写真◎石倉利英