上写真=山中の左足は浦和の大きな武器になりつつある(写真◎山口高明)
■2020年7月12日 J1リーグ第4節(@埼玉スタジアム:観衆3,094人)浦和 1-0 鹿島
得点:(浦)エヴェルトン
(鹿)なし
FKから絶対に取ろうぜと話していた
山中亮輔の左足は特別の輝きを放っていた。プレースキックからクロスボールまで、そのすべてが圧巻だった。52分にはペナルティーエリア外の左付近からFKをセットし、矢のようなボールを相手GKとDFの間に通す。それを岩波拓也が折り返し、エヴェルトンがゴールに押し込んだ。
静かなはずのスタジアムも、閃光のようなキックにはどよめきが起こる。本人は確かな手応えを得ていた。
「FKからチャンスを作り、得点につなげることができた」
試合前にチームスタッフからハッパをかけられていたのだ。
「今季はセットプレーで1点も取っていないぞ」
FKのスペシャリストが、その言葉を耳にして燃えないわけがない。
「選手同士でFKから絶対に取ろうぜ、と話していたんです。前半はフィーリングが合わなかったけど、後半はアジャストしてきた」
ハードなスケジュールのなか、再開後の3連戦ですべて先発出場。持ち味である左足キックだけではなく、タイミングのいいスプリントでも存在感を示している。汰木康也との連係は抜群。この日もカウンターになれば、いち早く駆け上がり、チャンスに絡んでいた。日本代表経験を持つレフティーのポテンシャルは言わずもがな。それでも、昨季はレギュラーポジションをつかめず、悔しい思いをした。加入2年目は、期する思いがある。
「今季は数字にこだわってプレーしている。結果を残し続けないと、試合に出られないと思っているので」
目指すのは、ゴール、アシストともにキャリアハイの成績。柏レイソル、ジェフユナイテッド千葉、横浜F・マリノスと渡り歩いてきた男は今季、浦和とともにさらなる飛躍を遂げるつもりだ。
現地取材◎杉園昌之 写真◎山口高明