J1再開の川崎フロンターレ戦で1−2の67分から登場すると、劣勢を押し返してその左足でビッグチャンスを生み出した遠藤康。さすがのプレーだったがまた勝てず、悔しさをにじませる。いままさに必要なのは「自信」だという。

上写真=自信を持て。遠藤の言葉はどんどんと熱を帯びていった(写真◎鹿島アントラーズ)

若手にとっていい巡り合わせ

 チームづくりは難しい。ましてや、ザーゴ監督就任による改革の時期であれば尚更だ。プロ14年目の男であっても、この苦境を抜け出そうと必死なのは変わらない。それが鹿島伝統の強さに結びつく。

「公式戦で勝てていないので何が何でも勝ちたいですけど、いままでやってきた練習の力はこの間の試合で3〜4割しか出せていないと思います。監督が変わってチームもガラッと変わった中で、勝つのは一番大事ですけど、それにとらわれちゃうと去年までのサッカーになってしまう。それは一番やっちゃいけないことだと思っていて。求められていることをしっかりやれば勝つんだという自信を、チームみんなで持つことが大事です」

 うまくいかなくなると、我慢が効かなくなって安易に軌道修正する誘惑に駆られがちだ。しかし遠藤は、それこそが危険だと知っている。変革を貫こうとする道に仕掛けられた落とし穴に、みすみすはまるわけにはいかない。

「去年のフロンターレ戦と比べても、疲労感とかやられた感とかはみんなの顔を見てもそんなにありませんでした。結果は負けてしまいましたけど、サッカーはそこが一番難しい。道は間違っていないと思うので、自信をもって進んでいくだけです」と信念は揺らがない。

 というのも、これまでも多くの指揮官とともに戦ってきた経験から、ザーゴ監督のアドバイスは「(トニーニョ・)セレーゾのような、教科書のような、サッカーはこういうものだよと教えてくれている感じ」だと思うからで、それが何より「若手はいい経験をしていると思います。高校で味わったことのないようなことを言われたり要求をされているので、いまは若手にとってはいい時期、いい巡り合わせだと思っていますね」と感じるからだ。

 実際に練習でできているのだから、それを試合に出すだけの話。ただ、いまはそこに物足りなさを感じている。足りないのは、自信。

「自信がないヤツはすぐに逃げたりするんです。自信を持ってるヤツはどんどん仕掛けたり、雰囲気で自信を持ってやってるなと見てれば分かります。自信を持ってやってる選手がミスしても責めません。そういうプレーをどんどんしていかないと成長していかないし、チームも強くなっていかない。求められることを自信を持ってやることが一番大事で、逃げたら何も変わらない。もっとやれたと思っている選手がいただろうし、もっとやれるはずです」

 自信という言葉を、何度発しただろう。最後は語気が強まる。自信を持って堂々と戦ってきたキャリアがあるからこその叱咤が熱い。

 7月8日には中3日でのゲームがある。相手は北海道コンサドーレ札幌だ。今季リーグ戦での「ホーム開幕」。自分たちの家で勝手なことをさせるつもりはない。

画像: オンライン取材に臨んだ遠藤。「ホーム開幕」の札幌戦へ決意を語った 写真◎鹿島アントラーズ

オンライン取材に臨んだ遠藤。「ホーム開幕」の札幌戦へ決意を語った

写真◎鹿島アントラーズ

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