1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第5回は、規格外のゴールで華々しく活躍したエムボマを取り上げる。
上写真=黒人選手の運動能力の高さを見せつけたエムボマ。迫力満点のプレーでゴールに迫った(写真◎J.LEAGUE)
歴史に残るJリーグ初ゴール
1997年の1stステージ開幕戦。ホームでベルマーレ平塚と対戦し、3-0とリードしていたガンバ大阪は、72分に決定的な4点目を奪う。この年に加入した新外国人FWエムボマのJリーグ初ゴールだった。
公式記録では左サイドからのドリブルシュート、ということになっているが、この一撃がすごかった。左サイドからのドリブル突破で相手選手に当たって浮いたボールを、時計回りに回転しながら右足→左足でリフティングしつつ、エリア内へ進入。最後は左足ボレーで逆サイドのネットに突き刺すという、Jリーグ史に残るスーパーゴールだった。
アフリカのカメルーン生まれで、幼少期にフランスに移住。来日前はフランスでキャリアを積んでいたものの、日本での知名度は高くなかった。だがデビュー戦で見せた、文字通りの『名刺代わりの一発』で注目度は急上昇。185センチ・85キロの堂々たる体格で、黒人選手ならではのパワーを生かし、開幕戦の後も豪快なミドルや、意表を突くタイミングのシュートでネットを揺らした。
ひとたびボールを持てば瞬時に加速し、長いストライドを生かして相手DFを置き去りにするスピードも目を見張るもの。かと思えば、トリッキーなヒールパス、守備陣をあざ笑うかのようなループシュートなども巧みに操った。